全曲試聴: https://open.spotify.com/playlist/1jFNpq5URXFnGxwLeFWX67
テーマ曲:Uprising (Radio Edit)/ U-Nam (Skytown Records, single) 3:38
1) ④Side Hustle / Thom Rotella (from『Side Hustle』 (HighNote Records HCD7355) 3:19
■Thom Rotella (g) Bobby Floyd (org) Gregg Karukas (⑫:org) Roy McCurdy (ds) Kendall Kaye (⑫:ds) Lenny Castro (②③⑥⑧⑫:per) Eric Alexander (④⑥:ts) Jeremy Pelt (⑧⑫:tp) 2024.2.20,21,27, LA
80年代にアルバム・デビューしたトム・ロテラは、フュージョン畑を歩んできたベテラン。2019年発表作『Storyline』でウエス・モンゴメリー曲をカヴァーするなど、ジャズにシフトしており、このHighNote第1弾ではオルガン・トリオを基本編成に、「アローン・トゥゲザー」等のスタンダードも選曲。「スリー・ヴューズ・オブ・ア・シークレット」と「グッドバイ・ポーク・パイ・ハット」を、メドレーではなく同時に演奏する⑫もアイデアがユニーク。タイトル曲④はレーベル・メイトのアレキサンダーがゲスト参加して、楽曲の魅力が倍増。
- Thom Rotella – Three Views of a Secret / Goodbye Pork Pie Hat:
2) ⑤Turn Out The Stars / Jaden Evans (from『Evans On Evans』Shamus Records) 5:31
■Jaden Evans (p) Vicente Archer (b) Marcus Gilmore (ds) (c) 2024
ビル・エヴァンスの孫で、エヴァンの息子である16歳のデビュー作。もちろんエヴァンスを始めとする様々なジャズ・ミュージシャンを吸収した成果を世に問うべく、祖父の自作9曲で構成。いずれも自分なりのアレンジを加えているのが特徴で、今後の伸びしろを考えれば上々のスタートと言えよう。⑤はバラードではなく、リズミカルなドラムと共に新たな生命を吹き込んでいる。
- Concerto for Billy the Kid – 1st Excerpt Piano Transcription:
3) ②Proof / Ben Wendel (from『Understory: Live At The Village Vanguard』EditionRecords EDN1254) 11:01
■Ben Wendel (ts,effects) Gerald Clayton (p) Linda May Han Oh (b,vo) Obed Calvaire (ds) 2022.11.4-6, NYC
2020年発表の移籍作以来、これが早くもEditionからの第3弾。テレンス・ブランチャード、ビル・フリゼールら豪華ゲストが参加した前作『All One』発表の5ヵ月前に、NYの聖地にワン・ホーン・カルテットで出演していたことが見逃せない。カヴァー1曲を除く6曲がウェンデルのオリジナルにあって、②はテナー&ピアノ・ユニゾンをフックとしながら、テナーがエネルギイッシュで充実したソロを展開する。
- Ben Wendel Vanguard Quartet: “Lu”:
4) ③Minor to Major / Eivind Austad Trio (from『Explore』Losen Records LOS 292) 8:09
■Eivind Austad (p) Magne Thormodsæter (b) Håkon Mjåset Johansen (ds) 2022.11.17‒18, Bergen
スタヴァンゲルで生まれ、トロンハイムでジャズを学び、ベルゲンでプロ入りしたオースタが、2013年結成のトリオで2年ぶりに放つ通算4枚目。再びデヴィッド・ボウイのナンバーからカヴァーした①を除く8曲が自作。③は終始ピアノが主旋律を奏でてエンディングに至る構成ながら、ドラム・パートがあり、ベースも自由に動くあたりは、成熟したトリオ・コンセプトと聴いた。
5) Disc 2⑤Pad Thai / Of Many Turns / Steve Coleman and Five Elements (from『PolyTropos / Of Many Turns』Pi Recordings PI105) 16:16
■Steve Coleman (as) Rich Brown (b) Sean Rickman (ds) 2024.3.12, Paris; 2024.3.16,Voiron
パリとヴォワロンというフランス2都市でのライヴを収録した2CD作。コールマン(1956~)の音楽理論を実践するユニット、ファイヴ・エレメンツはメンバーを交代しながらの活動が約40年を数えており、その持続的な営為には敬意を惜しまない。Disc 2⑤はアルトとトランペットのソロ・リレーを軸に、その間にも両者の拮抗や共鳴の要素も盛り込んだ楽曲構造が独創的。エンディングも見事だ。
- Steve Coleman & Five Elements:
6) ②I Fall In Love Too Easily / Keith Jarrett (from『The Old Country』ECM 2828) 9:54
■Keith Jarrett (p) Gary Peacock (b) Paul Motian (ds) 1992.9.16, Allentown, PA
高校卒業後のキースが61年に初めて出演したジャズ・クラブという所縁があり、オーナー夫妻が引退して、経営を引き継いだ娘夫婦を祝うため、30年ぶりに同店に出演。予定になかったサード・セットも行った事実が、当日のキースの高揚ぶりを証明。ピアノ独奏によるテーマ・イントロだった『Standards, Vol.2』ヴァージョンとは異なって、②はテーマの断片が現れないピアノ独奏であり、93年7月の『Live At Open Theater East』や94年6月の『At The Blue Note』よりも前の録音である点を踏まえれば、この1曲だけでも大発見。価値ある発掘作だ。