全曲試聴: https://open.spotify.com/playlist/1qiyOez3whbIW5uH3GQfHA
テーマ曲:Elan Trotman / Runnin’ Hot (Woodward Avenue Records, single) 3:55
1) ①JB / Heavy Hitters (from『That’s What’s Up』Cellar Live CL121523) 5:26
■Jeremy Pelt (tp) Eric Alexander (ts) Vincent Herring (as) Mike LeDonne (p) Alexander Claffy (b) Kenny Washington (ds) 2023.12.15-17, Vancouver
2023年にアルバム・デビューしたオールスター・セクステットの第2弾。エリックが共通の中心メンバーである点で、ワン・フォー・オールを想起する向きは少なくないだろうが、こちらはプロデューサーを兼任し、10曲中7曲を書いたルドーンがリーダー格。①は3管を活かしたテーマを皮切りに、テナー~トランペット~アルトのソロ・リレーにより、ライヴならではの熱気が充満する。
●The Heavy Hitters – Groundation:

2) ⑨Everything Happens To Me / Lars Jansson (from『Standards』Arts Music) 4:49
■Lars Jansson (p) Christian Spering (b) Zoltán Csörsz (ds) (c) 2024
ギタリストで銀行員でもあるトーマス・リングダム=ランゲが設立したArts Musicは、ラーシュ・ヤンソン推しのデンマークの新興レーベル。レギュラー・トリオではなく、ジャネット・リンドストロムやレナート・オーベリとの共演歴があるシュペリング、およびヤン・ラングレン3のチョルスと組んだ、ラーシュとしては珍しいスタンダード曲集。全11曲にあって、⑨はこの曲の決定版であるビル・エヴァンスやデューク・ジョーダンとは異なるテイストを持ち、ここに新しく魅力的なヴァージョンが誕生。

3) ⑥April Dreams / Ingi Bjarni (from『Hope』Losen Records LOS 299-2) 6:24
■Ingi Bjarni Skúlason (p) Hilmar Jensson (g) Anders Jormin (b) Magnús Trygvason Eliassen (ds) 2023.9, Gothenburg
ソロ、トリオ、クインテット作によってアイスランドの新世代ピアニストでは最も有望と目されるインギ・ビャルニの新作は、ギター入りのカルテット。9曲中7曲は実母が他界した2021年の自作曲で、平和、終結、幸福への希望の表現がアルバム・コンセプト。必ずしもピアノ・オリエンテッドではない音作りに、ヨルミンを含む人選理由を理解。⑥は動画サイトで公開した即興ピアノ演奏から生まれたブルースで、ギターとベースをフィーチャーしたバンド・コンセプトを反映。

4) ③A Nightingale Sang In Berkeley Square/Les Ombres II / François Couturier & Dominique Pifarély (from『Preludes & Songs』ECM 2819) 7:30
■François Couturier (p) Dominique Pifarély (vln) 2023.10, Reitstadel, Neumarkt
96年録音の『Poros』でデュオ・デビューしたフランス人のクチュリエ&ピファレリは、他のプロジェクトを含めて継続的な共演関係を築いてきた。本作はそれぞれの自作曲に加えて、ジャック・ブレル、エリントン、ガーシュウィン等の有名曲も採用。③は「バークリー・スクエア」をヴァイオリン・ソロとピアノ・ソロで挟んだ構成で、最後に両者の合体へと至る。
●Dominique Pifarély & François Couturier — PRELUDES & SONGS:

5) ⑦Sleepwalking / Terje Gewelt (from『Then And Now』Resonant Music RM32) 3:52
■John Surman (b-cl) Erlend Slettevoll (p) Terje Gewelt (b) prob. 2022. Nesbyen, Norway
ノルウェーのレーベル主宰ベーシストが98年から2022年に録音した未発表曲集。ソロ、アコースティック&エレクトリック・デュオ、トリオ、サックス、ヴォーカル入りと、多彩な編成とサウンドが、ゲベルトの幅広い音楽性と人脈を物語る。⑦は『Dusk Till Dawn』セッションからと思われる自作曲で、シンプルなメロディとドラムレス・トリオにより親しみやすさを感じさせる。

6) ⑧Take It To The Bridge / Klaus Gesing – Ana Pilat – Latvian Radio Big Band (from『Song And Dance』Challenge Records CR73593) 9:21
■Klaus Gesing (ss,b-cl,arr) Ana Pilat (vo) Latvian Radio Big Band [Andris Augstkalns, Gatis Gorkuša, Oskars Ozoliņš, Reinis Puriņš (tp,flh) Laura Rozenberga, Aivars Jaunžeikars, Uldis Ziediņš (tb) Kārlis Alfrēds Feldbergs (btb,tuba) Dāvis Jurka (as,ss,cl,fl) Jānis Puķītis (as,ss,cl) Kārlis Vanags (ts,ss,cl) Māris Jēkabsons (ts,ss,b-cl,cl) Kristaps Lubovs (bs,b-cl) Viktors Ritovs (p,el-p,key) Rihards Goba (g) Edvīns Ozols (b,el-b) Artis Orubs (ds,glockenspiel,per) 2023.9.14-16, Riga, Latvia
ノーマ・ウィンストンのECM盤に参加歴があるドイツのゲジング(1968~)が、コンボ用に書いた自作全9曲をビッグ・バンド版にアレンジ。そのコンセプトは変拍子の存在、歌詞(ヴォーカル)、管楽器とリズム・セクションが絡み合うハーモニーとリズムの力強さを柱にしたという。本作の⑧はプログラムのクライマックスに配置され、ソプラノとドラムをフィーチャー。終盤にじわじわと盛り上がる構成が、ゲジングのコメントを裏付ける。
