全曲試聴:https://open.spotify.com/playlist/03EkPbGcJozCzgqUYcisTL
テーマ曲:②Fast Lane / Mattias Roos (from『Cali Dreaming』Skytown Records #5640283572)) 3:34
1) ②Mystic Minor / Yvonnick Prené / Listen! (Sunnyside SSC-1679) 6:26
■Yvonnick Prené(chromatic hmca) Dayna Stephens(ts) Jeremy Pelt(⑥:tp) Kevin Hays(p) Clovis Nicolas(b) Bill Stewart(ds) (c) 2023
パリ生まれのプレンは渡米してニュースクール等で学び、2007年からはプロ・ニューヨーカー。正統派ハーモニカ奏者の成長を歓迎した2019年作『New York Moments』に続く本作は、「ディグ」「セヴン・ステップス・トゥ・ヘヴン」等で、引き続き50~60年代のモダン・ジャズへの思慕を表明。ベニー・ゴルソンとホレス・シルヴァーに触発されて生まれたという②は、マイルスのレパートリー「ジョシュア」との関連性も指摘でき、いつもながら繊細なスチュワートの助演も聴き逃せない。
2) ⑩I Remember Dizzy / Javier Girotto (from『Cordobés』Parco della Musica MPR143) 4:15
■Javier Girotto(ss,bs) Giacomo Tantillo(tp) Michele Fortunato(tb) Jacopo Ferrazza(b) Enrico Morello(ds) © 2022
1965年アルゼンチン生まれのジロットは、90年代からタンゴとジャズを融合したアイレス・タンゴで活動し、アルバムも多数。個人的にはフランチェスコ・ナストロらとの2007年作『Sa Inside』が印象深い。ピアノレス3管クインテットの本作は、自身が拠点とするイタリアらしいセンスが横溢。ガレスピーに捧げたと思われる⑩は、2管のソロをリレーして彼ら流のイタリアン・ハードバップを表明。
Teaser, “LISTEN!” by Yvonnick Prene:
https://www.youtube.com/watch?v=h4yVf6FYPqI
3) ①Human First / Teus Nobel Liberty Group (from『Human First』Teus Nobel Music TNM 2201) 27:11
■Teus Nobel(tp) Alexander van Popta(p,el-p) Jeroen Vierdag(b,el-b) Tuur Moens(ds) Jasper Blom(ts) Teis Semey(g) © 2022
1982年オランダ生まれ。2012年に初リーダー作を発表した後、数枚を経た自己のグループ名義による第3弾は、ノーベルがハービー・ハンコックの自伝を読んで大きな示唆を受けた一節をコンセプトに制作しており、人生で本当に重要なことに捧げた27分の組曲を柱に構成。その①はゲストによる後半のテナー・ソロで感動的な波動が生まれ、終盤のギター・ソロでバンドが沸点へと達する。
4) ⑦Grieg / Johanna Summer (from『Resonanzen』ACT 9767-2) 5:09
■Johanna Summer(p) 2021.12, Berlin
95年ドイツ生まれのピアニストは、2020年のACTデビュー作『Schumann Kaleidoskop』でシューマンをモチーフにした即興的な変奏曲により、自身の音楽性を表明。デュオ作を挟んだこのソロ第2弾は、創造力を発揮できる素材をバッハ、シューベルト、ベートーヴェン、ラヴェル、モンポウ、リゲティ、スクリャービン等へと拡大。グリーグ「抒情小曲集」からの⑦は、詩的な原曲をインプロの領域へと情熱的に発展させている。
5) ①Altar Flower / Zoh Amba (from『Bhakti』Mahakala Music MAHA-032) 29:05
■Zoh Amba(ts) Micah Thomas(p) Matt Hollenberg(g) Tyshawn Sorey(ds) © 2022
デヴィッド・マレイに師事し、現在22歳の若手ながらヴィジェイ・アイヤー、フランシスコ・メラ、ウィリアム・パーカーらと共演。ジョン・ゾーンの薫陶を受けて、NYフリー・ジャズ・シーンに彗星の如く現れたサックス奏者の新作は、長尺の全3曲を収録。最長29分の①は全員が一体となった全力疾走が、70年代のセシル・テイラー・トリオを想起。リーダーシップを含めて、末恐ろしい才人だ。
6) ②Spanish Steps / Enrico Pieranunzi Trio & Orchestra / Blues & Bach (Challenge Records CR73550) 6:03
■Enrico Pieranunzi(p) Luca Bulgarelli(b) Mauro Beggio(ds) Orchestra Filarmonica Italiana, Michele Corcella(cond,arr) 2021.9.16,17, Brescia,Italy
副題の「ジョン・ルイス曲集」で明らかなプログラムにアルバム名を重ねれば、バロック音楽を取り入れて独創的な世界を開拓した作曲家の音楽性に、この編成で新たな光を当てようとの企図がわかる。ジャズに精通するコルセラの指揮・編曲書法は、楽曲の未知なる魅力を引き出すに十分。MJQ『道化師』からの②はエンリコの多彩なテクニックとセンスが圧巻だ。