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テーマ曲:Twilight / Randy Scott (Trippin N Rhythm, single) 4:33
1) ①Blue Course Ready / Elmar Frey (from『Seven Colors』Privave Records PR2023.1)4:39
■Daniel Schenker(tp,flh) Stefan Schlegel(tb,vtb) Christoph Grab(ts,ss,fl) Alessandrod’Episcopo(p) German Klaiber(b) Elmar Frey(ds) 2022.3, Winterthur
スイスのフレイは13枚のリーダーの実績があるが、日本ではほぼノーマークのべテラン・ドラマー(1964~)で、個人的には今年リリースの共同名義作『Roundabout』で注目していた。本作は2005年のセクステット作『News From The Past』を母体に、4管セプテットへと拡大したのがポイント。自身がモダン・ジャズをスタイルの基盤としているように、ストレート・アヘッドなバンド・サウンドに好感。①はアルバムを象徴するアップ・ナンバー。
2) ⑦When You Find It, You Will Know / Human Being Human (from『Disappearance』 April Records APR117CD) 6:32
■Esben Tjalve(p,key) Torben Bjørnskov(b,electronics) Frederik Bülow(ds) 2022.12.15-16, Denmark
2022年発表のデビュー作『Equals』が、アコースティック・サウンドをベースに、エレクトロニクスと電気鍵盤を取り入れた音作りによって新感覚派と印象付けたデンマークのトリオ。この第2弾は中心的存在と言っていいビヨルンスコフが8曲すべてを書いており、アコースティックに軸足を置きながらリズム面の開拓姿勢を継続。⑦はジャズの運動性とヨーロピアン特有の繊細なセンスがブレンドし、ユニット性の高まりも表出。
3) ③Parade / Louis Billette (from『LUX』Unlimited Music France LUX001) 5:45
■Louis Billette(ts,ss) Shems Bendali(tp) Zacharie Ksyk(tb) Matthieu Llodra(p) Yves Marcotte(b) Marton Kiss(ds) 2021.4.22
パリで生まれ育ち、10年前からスイスを拠点に活動を続けるサックス奏者の第4弾。「暗闇の後に光が来る」を意味するジュネーブの標語をアルバム名に冠し、音楽が世界にもたらす心地良さを念頭に書いた自作7曲で構成。ナポレオンの絵画を参照して貴族に扮したセクステットの演奏は、ポジティヴなエネルギーを発しているのがいい。③は前作の2管から3管に増強した効果が顕著なトラック。
4) ①Row My Ocean / Sinikka Langeland (from『Wind And Sun』ECM 2776) 7:02
■Sinikka Langeland(vo,kantele,jew’s harp) Mathias Eick(tp) Trygve Seim(ts,ss) Mats Eilertsen(b) Thomas Strønen(ds) 2022.6, Oslo
ランゲラン、2年ぶりのECM新作は、過去作での共演者を含むノルウェー・オールスターズを新たに編成。4人全員がECMからリーダー作を発表していることで特別感を現出。同国を代表する劇作家で2023年度ノーベル文学賞受賞者ヨン・フォッセの詩作に自作曲をつけた全12曲。自然と人間をテーマにした母国語歌唱は、①を始めバンド・サウンドと自然な形で融合。英語対訳歌詞付きのブックレットも価値あり。
5) ④Tangled Tangos / Ned Rothenberg (from『Crossings Four』Clean Feed CF653CD) 9:25
■Ned Rothenberg(b-cl,as,cl) Sylvie Courvoisier(p) Mary Halvorson(g,effects) Tomas Fujiwara(ds) 2022.8.23, NY
40年超にわたって米フリー・ジャズ界を走り続けてきたマルチ管楽器奏者は、2016年作『In Cahoots』以降、リスボンのClean Feedへと舞台を拡大。この同第3弾は楽器編成もさることながら、ローゼンバーグの盟友クルヴォアジェにハルヴォーソン+フジワラの人選の妙がポイント。自作曲④はユニゾン・テーマを皮切りに、メンバーのパートで繋ぎながら再び共鳴するエンド・テーマが鮮やか。
6) ⑧SP68 / Gard Nilssen’s Supersonic Orchestra (from『Family』We Jazz Records WJCD55) 7:03
■Thomas Johansson, Goran Kajfes(tp,per) Erik Johannessen, Guro Kvåle(tb,per) André Roligheten(ts,bass-sax,b-cl,per) Eirik Hegdal(sn,C-melody sax,Bb-cl,per) Per ”Texas” Johansson(ts,contrabass-cl,Bb-cl,per) Kjetil Møster(ts,bs,Bb-cl,per) Mette Rasmussen, Maciej Obara, Signe Emmeluth(as,per) Petter Eldh, Ole Morten Vågan, Ingebrigt Håker Flaten(b,per) Håkon Mjåset Johansen, Hans Hulbækmo, Gard Nilssen(ds,per) 2022.10.8, Mondriaan Jazz at Paard Van Troje, Den Haag
ノルウェーのトップ・ドラマーが北欧人を中心に、他の欧州革新派を動員した17人編成の楽団は、3ベース+3ドラムのリズム隊に同国の2000年代の特徴を反映。オランダでの本ライヴは、最終曲⑧を始め、ニルセンとルーリヘッテンが共同で作編曲を手掛けており、オバラ、ラスムッセン、ヨハンソンら一枚看板の管楽器奏者のラインアップが痛快。北欧4ヵ国で唯一メンバーが不参加であるフィンランドのレーベルからのリリース。