全曲試聴: https://open.spotify.com/playlist/7CI4R8oGgnwvOxl5ShuC3E
テーマ曲:Where There’s Hope / Jeff Ryan (Woodward Avenue Records, single) 3:41
1) ①Interface / Steve Davis (from『Steve Davis Meets Hank Jones, Volume 1』Smoke Sessions Records 734038994528) 5:28
■Steve Davis(tb) Hank Jones(p) Peter Washington(b) 2008.6.17, NJ
これは嬉しい未発表作だ。2007年録音作『Eloquence』に参加したハンクから再録音を提案されたデイヴィスが、90年代初頭までNY“ブラッドレイズ”に定期出演したハンク&ワシントンのデュオに客演するイメージで本作を立案。その結果、巨匠の他界2年前(89歳)の演奏を記録できたのが貴重な収穫。スタンダード中心の全6曲にあって、78年発表のGJT作が初演のハンク作曲①は、息の合ったトリオ・サウンドを奏でる好演。
2) ②Back On The Beat / Laurent De Wilde Trio (from『Life Is A Movie』Gazebo AD7749C) 5:10
■Laurent de Wilde(p) Jérôme Regard(b) Donald Kontomanou(ds) 2022.9.14,15, Amiens
私と同年生まれということもあってデビュー時からウォッチし続けているピアニストは、コロナ禍直後のバイク事故で歩行困難になったために自身を見つめる時間が生まれ、人間は運命=監督による映画で役割を演じるものなのだとの考えに至った。10年以上のレギュラー・トリオによる本作は、ポジティヴなメッセージを発するトラックが印象的。②はローランの祝復帰の気分が重なるスウィンギーなアップ・ナンバー。
●Laurent de Wilde – Life Is A Movie – EPK:
3) ③For All We Know / Ellas Kapell (from『For All We Know』Prophone Records PCD321) 5:05
■Lovisa Jennervall(vo) Manne Skafvenstedt(p) August Eriksson(b) Edvin Glänte(ds) 2023.5.31-6.1, Gothenburg
ストックホルムから発信する2016年結成のスウェディッシュ・カルテット、2年ぶりの3枚目。ユニット名を冠した女性ヴォーカリスト+ピアノ・トリオの、20世紀アメリカン・スタンダード・ナンバーを主なレパートリーとするユニットは、全員が独自のアレンジを加える“温故知新”が音楽性の柱。ロヴィーサ編曲の③は透明感のある歌唱が北欧の風景にマッチするバラード。
●Ellas Kapell – I Get Along Without You Very Well:
4) ⑤The Mountain / Rymden (from『Valleys And Mountains』Jazzland Recordings 3779599) 7:57
■Rymden [Bugge Wesseltoft (p,key) Magnus Öström (b) Dan Berglund (ds,per, electronics,vo)] John Scofield ①:g) 2023.3.14-17, Stockholm
2023年3月にKORK(ノルウェー放送楽団)とのライヴ作を出したトリオが、年内2枚目の新作をリリース。アルバム名と曲名は自然から創作的示唆を得たことを表しており、90年代からレーベル主宰者兼任で活動してきたブッゲと、e.s.t.でスウェディッシュ・トリオの最先端を開拓したオストロム&ベルグルンドの経験がここで進化。⑤はアコースティックとエレクトリックを融合させながらの、攻めの姿勢に共感。
5) ④I’ll Give You Twenty-one / Hedvig Mollestad Weejuns (from『Weejuns』 Rune Grammofon RCD2232) 21:49
■Hedvig Mollestad(g) Ståle Storløkken(key) Ole Mofjell(ds) Oslo, Stavanger © 2023
2009年の結成以来、インプロ、ヘビー・ロック等を吸収した音楽性で7タイトルを発表してきたノルウェーの前衛女性ギタリストの、新トリオお披露目ライヴ作。スーパーサイレントやエレファント9等で実績十分なストーロッケン、および若手オフェイとの共演は、トリオ・サウンドのパワーと表現領域が拡大した印象。全6曲中、最長の④は70年代マイルスやライフタイムを感じさせ、バンドが一体となって燃え上がるのが痛快。
6) ⑪Cat Circles / Alex Hitchcock Dream Band (from『Live In London』Whirlwind Recordings WR4813CD) 7:33
■Alex Hitchcock(ts); ①⑦⑪⑫⑬⑯⑰: James Copus(tp) Kit Downes(p) Lewis Wright (vib) Conor Chaplin(b) Marc Michel(ds); ②⑧⑨⑩⑮⑲: Liselotte Östblom(vo) Mark Kavuma(tp) Rob Luft(g) Rio Kai(b) Jamie Murray(ds); ③~⑥⑭⑱⑳: Alexandra Ridout (tp) Kit Downes(p) Ant Law(g) Orlando Le Fleming(b) James Maddren(ds) 2022.8.9-11, London
2018年にアルバム・デビューし、近年欧州で評価を高めるロンドン生まれのサックス奏者が、2021年作をバンド名に冠して3組を率いた“ヴォルテックス”での長尺ライヴ作。ヴィブラフォン、ギター、ヴォーカルで違いが生まれた、いずれも6人編成が会場に熱気を巻き起こすドキュメンタリーとして聴き応え大。⑪はヒッチコックがソロでリーダーシップを発揮。クリス・ポッター好きに推薦。