全曲試聴： https://open.spotify.com/playlist/0vEODP2UY2U8UvoeCrzBBK
テーマ曲：⑤Spice of Life / U-Nam, California Funk Machine (from『California Funk Machine, Vol.3』Skytown Records) 3:41
1) ④Exploitation Suite Part II: At Mount Stupid, At the Bottom of a Well / Roger Lin (from『Exploitation Suite』Roger Lin) 8:06
■Roger Lin(g); ①④⑥: Moshe Elmakias(p) Simón Willson(b) Willis Edmundson(ds); ②③⑤⑦⑨: Chaz Martineau(ts) Isaac Levien(b) Quinton Cain(ds) 2023.3.8, 8.5, NY
台北で生まれ育ち、バークリーでミック・グッドリックに師事したニューヨーカーは、キース・ジャレット、アーロン・パークス、ビル・フリゼールを吸収して音楽性を形成。2020年のデビュー作に続く第2弾は、NYからイメージした自作9曲を2組のカルテットで収録。④は①⑦と合わせて断続的に配置された組曲の一部で、リンの独特な作曲センスが光る。
●Roger Lin – Exploitation Suite – Behind the Scenes Trailer：
2) ②Inception / Simon Moullier (from『Inception』Fresh Sound New Talent FSNT 661) 4:08
■Simon Moullier(vib) Luca Alemanno(b) Jongkuk Kim(ds) 2022.10.11,12, NYC
1994年フランスで生まれ、バークリー音大とモンク研究所で学んだ新鋭は、2020年にアルバム・デビュー。早くも4枚目となる本作はマイルス、ホレス、ミンガス、ショーター等でマニアックな選曲とアレンジ・センス、および独特な楽器のセッティングに起因する音色で個性を示すジャズマン・オリジナル集。アルバム名に採用したほどの思い入れがあるに違いないマッコイの②に、60年代の作曲者とムリエのフレッシュな勢いがオーバーラップする。
3) ②Oktober / Palle Mikkelborg-Jakob Bro-Marilyn Mazur (from『Strands』ECM 2812) 7:26
■Palle Mikkelborg(tp,flh) Jakob Bro(g) Marilyn Mazur(per) 2023.2, Copenhagen
デンマークの超世代トリオによるホール・ライヴ。6曲中5曲がパレ参加のブロ作『Returnings』(2018年)の再演であり、私が取材した2019年の《Ystad Sweden Jazz Festival》にブロ＋パレ＋ホルヘ・ロッシー＝トリオで出演したことを踏まえれば、本作が一見年長者のパレ主導に見えるが、実は編成とメンバーを替えながらのブロの継続的プロジェクトであることが明らか。②はエアリーなトランペットと繊細な打楽器と共に織りなす、ブロの空間芸術感覚の成果。
4) ③Upside Down / Jesper Thorn (from『Dragør』April Records APR116CD) 6:39
■Jesper Thorn(b,electronics) Marc Méan(p,electronics) Tobias Wiklund(cor) Cecilie Strange(ts) Andreas Bernitt(vln,vla) 2022.7.9, Copenhagen
デンマークのベーシストは、2016年にフリュゲルホーン＋ピアノ＋エレクトロニクスの『Big Bodies Of Water』でデビュー。2020年の『Boy』は前作の延長的な編成と顔ぶれで、3年ぶりの本作は連続参加のメンバーにテナーとヴァイオリンが加わった拡大版。生地をアルバム名に冠した全8曲は、メランコリックなメロディが主軸となったサウンド・コンセプト。③は北欧色が濃いテナーを響かせるセシリーが特に貢献するトラック。
5) ④350 Million Herring / MoonMot (from『350 Million Herring』Enja ENJ9834) 8:48
■Dee Byrne(as,effects) Simon Petermann(tb,effects) Cath Roberts(bs) Oli Kuster(el-p, effects) Seth Bennett(b) Johnny Hunter(ds) 2021, Lugano
イギリス、スコットランド、スイス出身者が2017年に結成したセクステットは、2020年の『Going Down The Well』でアルバム・デビュー。この第2弾はスイス・アルプスで各メンバーが持ち寄った楽曲を試演～発展させた後にスタジオで録音。④はジョンソン元英国首相のEU離脱公約を踏まえたハンターの楽曲で、対照的な要素を展開しながら平和に落着する。
6) ③Caroling, Caroling / Jazz At Lincoln Center Orchestra with Wynton Marsalis (from『Big Band Holidays III』Blue Engine, digital only) 7:46
■Ryan Kisor, Marcus Printup, Kenny Rampton, Wynton Marsalis, Bruce Harris, Greg Gisbert(tp) Vincent Gardner, Christopher Crenshaw, Elliot Mason, Jacob Melsha(tb) Sherman Irby(as,a-fl) Ted Nash (as,piccolo) Victor Goines(ts,cl) Walter Blanding, Camille Thurman(ts) Joe Temperley(bs) Paul Nedzela(bs,b-cl) Dan Nimmer(p) James Chirillo(g) Carlos Henriquez(b) Ali Jackson, Willie Jones III, Charles Goold(ds); Kim Burrell(⑥:vo) Alita Moses(⑦:vo) Catherine Russell(⑧:vo) Denzal Sinclaire (③⑤:vo) Vuyo Sotashe(④:vo) © 2023
デジタル・プラットフォームに対応したリリースにも数年前から取り組んでいるJLCO。ファンにはお馴染みである“冬の贈り物”の第3弾は、5名のヴォーカリストをゲストに迎えたプログラムで、ウィントンを中心とする楽団の演奏は、アメリカ人がこの季節を特別な感覚で過ごしていることを物語る。③はカナダのシンクレアの歌唱と共に、プリンタップの編曲によるスウィンギーなサウンドが楽しめる。
