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テーマ曲:Wes 8Mile / Dee Brown (Innervision, single) 4:08
1) ①Tributes / Antonio Faraò (from『Tributes』Criss Cross Jazz 1420 CD) 6:19
■Antonio Faraò (p) John Patitucci (b) Jeff Ballard (ds) 2023.7.26, Paris
アルバム・デビューから四半世紀にして初めてのCriss Crossリーダー作を制作したのは、レーベルの歴史においても前例がないほどのレアケース。さらにパティトゥッチ+バラードとも初共演ということで、ファラオは全10曲中8曲のオリジナルを含めて本作のために2年間を費やした。①は疾走感溢れるピアノ・プレイが、彼らとの新トリオ誕生の喜びを表現。
2) ②Unspoken Words / Avery Sharpe Double Quartet (from『I Am My Neighbors Keeper』JKMN Records AS898914) 5:17
■Avery Sharpe (b) Zaccai Curtis (p) Yoron Israel (ds) Tony Vacca (balafon) Sarah Briggs, Kaila Graef (vln) Gregory Diehl (vla) Dave Haughey (cello) © 2024
80~90年代にマッコイ・タイナーのレギュラーを務めて名声を獲得したシャープは、アフリカン・アメリカンであることを意識したリーダー作を2000~2010年代も精力的に制作。本作は米国の政治的、人種的分裂に対するメッセージをコンセプトとしており、カルテットとSQの合体は交響曲の作曲家キャリアを反映。88年の初作のタイトル曲は、時代を超えた新たな編成でリーダーシップを発揮したのが頼もしい。
3) ⑨Dreams / The Jamie Baum Septet+ (from『What Times Are These』Sunnyside Communications SSC 1722) 7:33
■Jamie Baum (fl,spoken word) Jonathan Finlayson (tp,spoken word) Sam Sadigursky (as,cl,b-cl) Chris Komer (frh) Luis Perdomo (p,el-p) Brad Shepik (g,singing bowls) Ricky Rodriguez (b,el-b) Jeff Hirshfield (ds) Theo Bleckmann (④:vo) KOKAYI (⑥:vo) Sara Serpa (⑤⑦⑧:vo) Aubrey Johnson (③⑥⑨:vo) Keita Ogawa (①③⑩:per) 2023.4.10,11, NY
2004年にアルバム・デビューしたニューヨーカーのセプテットは、メンバーが交代しながらフルート奏者としての独自の道を追求。この第5弾は20~21世紀の女性詩人による作品をテーマに、歌手4名を起用した新境地。ラップ調の自作詞を歌うコカイの⑥や、サラ・セルパの⑦⑧も捨て難いが、ライル・メイズの姪であるジョンソン参加の⑨が、ペルドモの好演によってここに選出。
4) ③Hidden Garden / Amos Hoffman (from『Minor Operation』Jojo Records) 4:30
■Amos Hoffman (g, ③⑥:oud) Santi Debriano (b) Lenny White (ds) 2022, NJ
アヴィシャイ・コーエン(b)の2006年発表作『Continuo』でその存在が知られるようになったイスラエル人ホフマンの第6作。ウード使用曲では母国のルーツが明らかな旋律が飛び出す一方、ギター・トリオではモダン・ジャズを踏まえた正統派の実像を披露し、そのギャップもまた魅力。③は名手デブリアーノとホワイトを得たことで気分が弾むホフマンの、ウード独特の音色によるスピード感が楽しめる。
●Amos Hoffman – Minor Operation ft. Lenny White and Santi Debriano (Official Video Teaser):
5) ②Part II / Jordina Millà & Barry Guy (from『Live In Munich』ECM 2827) 10:11
■Jordina Millà (p) Barry Guy (b) 2022.2, Munich
ガイが招聘作曲家を務めた2017年バルセロナの音楽祭を通じて、ジョルディナ・ミラの才能を発見し、2021年にデュオ作『String Fables』(Fundacja Słuchaj)をスタジオで録音。翌年のステージを記録した本作は、全6パートの即興曲で構成しており、両者の前衛的かつ打楽器的な演奏には、ピアノとベースが共に弦と木製の楽器であることを再認識させられる。②は遊び心を交えたエンディングが興趣に富む。
6) ⑥Lucia’s Wawa / Robby Ameen (from『Live at the Poster Museum』Origin Records 82900) 9:12
■Conrad Herwig (tb) Bob Franceschini (ts,ss) Troy Roberts (ts) Edsel Gomez (el-p) Lincoln Goines (b) Robby Ameen (ds) 2024.2.1, NYC
エル・ネグロとのチームで知られるラテン・ジャズ界のベテラン・ドラマーが、2020年発表作『Diluvio』のフロント3名を含むセクステットで、アミーンを支援してきたトライベッカのポスター・ショップに出演。④「オレオ」を除く6曲が自作。3管のバリエーションがプログラムを構成する中、⑥はバンドを鼓舞する躍動的でパワフルなドラミングが印象的だ。