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テーマ曲:SunSeeker / Gabriel Mark Hasselbach (self-released, single) 4:13
1) ⑨Firm Roots / Alvin Queen (from『Feeling Good』Stunt Records STUCD 24042) 5:05
■Carlton Holmes (p,syn) Danton Boller (b) Alvin Queen (ds) 2023.9.26,27,29, NJ
米国出身ドラマー~欧州移住~Stuntを線で結べば、エド・シグペン(1930~2010)の流れを継承しているのがクイーン(1950~)であることは間違いない。2021年の『Night Train To Copenhagen』に続くStunt第2弾は、メンバーを刷新したスタンダード集。ジャズマン・オリジナルではシダー・ウォルトンの2曲が目をひき、⑨は最初と最後にドラム・ソロを入れて、おそらくシダーとの共演歴がないクイーンが名匠への敬意を捧げている。
2) ①Incompatibilidade e Gênios / Hamilton de Holanda and Gonzalo Rubalcaba (from『Collab』Sony Music Brazil G0100052848356) 7:46
■Hamilton de Holanda (bandolin) Gonzalo Rubalcaba (p) Gabriel Grossi (⑦:hmca) João Bosco (⑨:vo) © 2024
ジョー・ロヴァーノ、チャーリー・ヘイデン、ピエリック・ペドロンらとの共同名義作を残しているゴンサロと、ステファノ・ボラーニやアンドレ・メマーリとのデュオで知られるアミルトン・ヂ・オランダとのデュオ作。超絶技巧派の二人だから可能な展開が随所に認められる中、ジョアン・ボスコ作の①はブラジルのサウダージ色が滲み出た人間味溢れるトラック。
3) ⑧Sommerfuglskygge / Torun Eriksen (from『Fastlandet』Jazzland Recordings 3779607) 3:30
■Torun Eriksen (vo) Alessandra Basso (p,live electronics) Atle Nymo (cl) Kjetil Dalland (b) (c) 2024
ノルウェーの女性ジャズ・ヴォーカリストにあって独自のポジションを築いているエリクセンの、レコーディング・キャリア20周年にあたるJazzland第7作。バッソ、ダランドとのトリオを基本編成として、全曲母国語歌唱のエレクトロ・アコースティック・サウンドで新境地を開拓。「蝶の影」を意味する最終曲⑧は、何故このセッティングを設けたかの最終回答だ。
4) ⑦Dried Print on Cardboard / Lux Quartet (from『Tomorrowland』Enja 9845) 9:45
■Dayna Stephens (ts,ss) Myra Melford (p) Scott Colley (b) Allison Miller (ds) (c) 2024
メルフォードとミラーの双頭リーダー・カルテットのデビュー作。ユニット名は地球上の様々な生命における光の役割にインスピレーションを得たもの。メルフォードはミラー率いるBoom Tic Boomのメンバーで、近年のツアー・メンバーであるスティーヴンスとコリーが加わって録音。4ビート、フリー、モード、バラードと、楽曲ごとに表情を変化させる中、⑦はテナー&ピアノ・ユニゾンで始まり、ソロ・リレーの最後に激烈なピアノによって最大の見せ場を現出する。
●Tomorrowland – Lux Quartet (LIVE @ Dizzy’s Club):
5) ⑤Resolution Points / Stemeseder Lillinger Quartet (from『Umbra II』Intakt Records CD 423) 4:06
■Peter Evans (tp,piccolo-tp) Elias Stemeseder (p) Russell Hall (b) Christian Lillinger (ds) 2023.10.9, NJ
オーストリア人ピアニストとドイツ人ドラマーは過去3年間に数枚の共演作を発表。昨年のシリーズ第1弾で限定参加したエヴァンス、ホールとのカルテットは、二つの組曲を含む全13曲で、全体的にはエヴァンスのトランペットが強力な存在感を放つ点で、今回の人選は正解。⑤はメンバーの技巧に加えて、アレンジの妙味も聴かせるトラックだ。ヴァン・ゲルダー・スタジオ録音作。
6) ②King Cake / Timo Lassy & Jukka Eskola (from『Nordic Stew』Dox Records DOX664CD ) 4:28
■Jukka Eskola (tp) Timo Lassy (ts) Delfeayo Marsalis (tb) Kirk Joseph (sousaphone) Matt Perrine (tuba) David Torkanowsky (p,el-p) Roland Guerin (b,el-b) Herlin Riley (ds) Abdissa Assefa (per) 2022.1.27-29, New Orleans
2000年代のフィニッシュ・ジャズ隆盛の立役者である二人が、母国のジャズ史と所縁が深いニューオリンズでの現地ミュージシャンとの交流によって本作を完成。米国産ジャズのルーツのリメイクというコンセプト的には、ファイヴ・コーナーズ・クインテットに通じると言えよう。二人とデルフィーヨらが好ましい親和性を示すのは、相互敬意ゆえ。②は二人が現地人とその流儀に馴染んでいる様子が明らかで微笑ましい。
●Timo Lassy & Jukka Eskola – The Duke of Bayou: