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テーマ曲:③Road Trippin’ / Patrick Bradley (from『Gratitude』Patricks Song Factory) 4:19
1) ①Too Little, Too Late / David Weiss Sextet (from『Auteur』Origin Records 82903) 5:14
■David Weiss (tp) Myron Walden (as) Nicole Glover (ts) David Bryant (p) Eric Wheeler (b) E.J. Strickland (ds) 2023.1.23,24, NY
2000~2010年代に2管バンドPoint of Departureで名を挙げたワイスは、リトル・ビッグ・バンドによる2013年発表のショーター集も印象的だった。本作は長年の共演者であるウォルデン、ストリックランドと、若手のグローヴァー、ブライアントが合体した超世代編成。自作曲を中心とした全7曲にあって、①はジャズ・メッセンジャーズ流の強弱を入れたテーマのハードバップ・ナンバー。
2) ⑦Mindstorm / Sol Jang Trio (from『19-29』Unit Records UTR 5154) 4:46
■Sol Jang (p) Jort Terwijn (b) Max Hering (ds) 2023.12.9-10, Germany
韓国出身の女性ピアニストによるトリオ・デビュー作。母国を振り出しに、アメリカ~オランダと活動範囲を広げた足跡を曲名に刻み、この10年間をアルバム名に象徴させた点で、自作10曲で固めた自分史的なコンセプト作と言えよう。⑦はアメリカンなダイナミズムとヨーロピアンな叙情性がブレンドしており、欧米での実体験が自己の音楽性を形成することを示す好例。
3) ⑤Stjerner over Vercors / Antonio Dayyani (from『Trop Op』April Records APR142CD) 3:59
■Jon Askjær (tp,flh) Andrea Maagaard (p) Cahlo Heyman Krill (g) Magnus Munk Tækker (pedal steel-g) Carlo Dayyani (①:g) Harald Hagelskjær (b) Antonio Dayyani (ds) 2024.1.29-30, Aarhus, Denmark
2022年にアルバム・デビューしたデンマークのドラマーのセカンド。個人の内面に集中するよりも社会との関係を大切にするべき、とのメッセージを作品名に投影。前作に引き続き、ペダルスティールギターを加えた編成で、ビル・フリゼールに通じるアメリカの原風景をイメージさせるサウンド志向が興味をひく。⑤は北欧人の伝統的な音色のトランペットを主旋律とするフォーキーなテイストのトラック。
4) ①High Wire – The Aerialist / Geoffrey Keezer (from『Live At Birdland』MarKeez Records MKR003) 8:33
■Geoffrey Keezer (p,arr) John Patitucci (b,el-b) Clarence Penn (ds) 2023.9.8-10, NYC
近年逝去した2大巨頭へのトリビュート作。チック・コリアとウェイン・ショーターの、共に比較的カヴァーされていない楽曲を選んでおり、パティトゥッチを迎えたことを含めてキーザーの拘りが伺える。コリア+スタンリー・クラーク+レニー・ホワイト盤からの①は、ピアノ奏法とアイデアにおいてキーザーがチックから多大な影響を受けていることが明らか。
5) ②Another Kind Of Forever / Darius Jones (from『Legend of e’Boi (The Hypervigilant Eye)』AUM Fidelity AUM120-2) 8:49
■Darius Jones (as) Chris Lightcap (b) Gerald Cleaver (ds) (c) 2024
アフリカ系アメリカ人の音楽を専門とする教授で、前衛畑を歩んできたジョーンズが、2009年に始動した全9部作のシリーズは、クーパー・ムーア、マット・ミッチェルらメンバーを入れ替えながら制作。この第7弾は長年の共演者であるクリーヴァーとのピアノレス・トリオで、体格的にキャノンボール・アダレイ~アーサー・ブライス~シャーマン・アービーの系譜に連なるジョーンズの、スケールの大きい吹奏を体感。すべて8分以上の全6曲にあって、②はラストまでアルトが主役を演じて存在感を発揮するナンバー。
6) ①Celebrate The Fall / Peter Asplund (from『Out Of This World (Prophone Records PCD298) 6:20
■Peter Asplund (tp,flh,vo) Lars Jansson (p) Hans Andersson (b) Johan Löfcrantz Ramsay (ds) Emmalisa Hallander (②:vo) Mats Hålling (arr,cond) Göteborg Wind Orchestra 2023.9, The Göteborg Opera
6月の来日公演でスウェーデンの正統派トランペッターの第一人者であることを再認識させてくれたペーター・アスプルンドが、ウィンド・オーケストラを招いて制作した、人生のサウンドトラックと呼ぶべきスタンダード・ナンバーを生んだソングライターへのトリビュート作。①は主役感の濃いトランペット・ソロに続いて、参加メンバーであるだけでも特別感を醸し出すヤンソンが流石のプレイで継投。