全曲試聴: https://open.spotify.com/playlist/3q1PDDW2uKU0Gy8fzfGHQI
テーマ曲:④Just Doing Me / Marion Meadows (from『Just Doing Me』Shanachie SHA-5518) 2:53
1) ⑨Caminhos Cruzados / Renee Rosnes (from『Crossing Paths』Smoke Sessions Records SSR2408CD) 4:10
■Renee Rosnes (p,el-p) Chico Pinheiro (g) John Patitucci (b) Adam Cruz (ds) Chris Potter (⑦:ts) Steve Davis (tb) Shelley Brown (fl) Rogério Boccato (per) Maucha Adnet (④⑨:vo) Edu Lobo (②⑤:vo) Joyce Moreno (⑥:vo) 2024.6.17,18, NYC
近年は女性ユニット“アルテミス”の音楽監督を務めるロスネスが、30年前から構想していたブラジル・プロジェクトの実現にあたって、米国のトップ・ミュージシャンとバンドを組み、現地の著名人を迎えられたのは、時間をかけた甲斐があったというもの。ナシメント、カエターノらの楽曲をカヴァーした全9曲中、ジョビンとニュウトン・メンドンサの共作⑨「十字路」はマウーシャの歌唱とロスネスのピアノが、サウダージで結びついた寛ぎのトラック。
2) ⑦See You Again / Lisa Hilton (from『Lucky All Along』 (Ruby Slippers Productions 1030) 4:12
■Lisa Hilton (p) Igmar Thomas (tp) Luques Curtis (b) Rudy Royston (ds,per) (c) 2024
ヒルトンの作品を継続的に聴いてきた中で、評価が定まらない点があったのだが、今作の①④で氷解した。80年代に話題を呼んだWindhamHillのニュー・エイジを想起。ヒルトンはジャズに軸足を置きながら、その場にとどまらないポピュラリティも視野に入れた音作りをしているのがユニーク。全11曲にあって、タイトル・ナンバー⑦はシンディ・ロ-パー「トゥルー・カラーズ」を想起させ、親近感を抱く。
●And Some Blues…:
3) ⑧Nicotine / Arbor (from『Arbor』PK Musik IIK0017) 6:28
■Yiannis Papadpoulos (p) Michalis Tsiftis (g) Yiannis Vagianos (b) Nick Thessalonikefs (ds) 2024.1, Athens
2022年のフランコ・アンブロゼッティ・ジャズ賞で上位を占めたギタリストとベーシストを中心とした、アテネとアムステルダムからの4人によるデビュー作で、エグゼクティヴ・プロデューサーはペトロス・クランパニス。ラテン語で“木”を意味するバンド名は、山火事の被害に遭うギリシャの環境を意識した、人間と自然の関係を音楽性に反映。パパドプロス作曲の最終曲⑧は叙情的なメロディで始まり、ピアノとギターが短いソロを交互に繋げていきながら融合する構成で、エンディングに向かって最大の山場を作る。
●ARBOR – Counterfactual:
4) ⑧Ephemeral / Thomas Strønen (from『Relations』ECM 2771) 3:05
■Thomas Strønen (ds,per) Chris Potter (ss,ts) Craig Taborn, Jorge Rossy (p) Sinikka Langeland (kantele,vo) 2018-2022, Oslo, New York, Basel, Lugano
2010年以降、ECMで6タイトルを発表してきたノルウェーのストローネンが、過去作とはまったく異なるコンセプトの作品を完成。自身のソロ2曲、および欧米各地のミュージシャンと制作したデュオ・シリーズで、ECMのアドヴァンテージを活かした人選が興味深い。最短が1分台、長くても4分台の全12曲、計35分は、ドラム・トラックにミュージシャンが反応する録音手法ゆえに、アイデアを凝縮した即興演奏集の趣。③でテナーを吹いたポッターは、⑧でソプラノに持ち替えてスピリチュアルに共鳴。
5) ⑦This Moment / Nicole Mitchell & Ballaké Sissoko (from『Bamako*Chicago Sound System』FPE Records FPER602) 14:47
■Nicole Mitchell (fl) Ballaké Sissoko (kora) Fatim Kouyate, Mankwe Ndosi (vo) Jeff Parker (g) Fassery Diabaté (balafon) Joshua Abrams (b) JoVia Armstrong (per) 2017.7, Chicago
元AACM会長のミッチェルは若い頃から西アフリカの音楽に親しんでおり、本作の成立事情が録音から7年後の発表であることを含めて、長年温めてきたプロジェクトなのは明らか。シソコを始めマリの首都バマコのミュージシャンと、パーカーを含むシカゴの面々との共演は、「ジャズとワールド・ミュージックのコラボ」にとどまらないミッチェルの想いによって実現したわけで、その点が見逃せない。本作中最長の⑦はドラマ仕立ての構成に、両国人の相互理解を感じる。
6) Disc 5 ③Miho Hazama: Suite Electus – Leda / The Danish Radio Big Band (from『 XL-LX』Storyville Records 717101436095) 6:47
■The Danish Radio Big Band, Miho Hazama (cond) 2020.1.17, Copenhagen
マリリン・マズール、カーラ・ブレイ、パレ・ミッケルボルグ、カール・ニールセン&ピーター・イェンセンらの委嘱組曲を収録したデンマーク放送楽団の豪華60周年記念作で、5枚組LPボックス仕様。録音は2015年から2020年にわたっており、この時代のDRBBの集大成と言える内容。最後を飾る挟間美帆の楽曲は3楽章を切れ目なく演奏する構成で、その最終章は冒頭からの静かな雰囲気を保ちながら、フリューゲルホーンをフィーチャー。ソロを受け継いだテナーを経て、楽団の合奏へと至る。
●My Centennial // The Danish Radio Big Band & The Danish National Symphonic Orchestra (Live):