全曲試聴: https://open.spotify.com/playlist/5sbI0IMvFZ0rLjbU9z6IJR
テーマ曲:Eric Knight / Passion Fruit (Eric Knight Music, single) 4:21
1) ①Heavy Drops / Adam Ben Ezra (from『Heavy Drops』self-released) 3:36
■Adam Ben Ezra (b,key,vo,fl) Michael Olivera Garcia (ds,per) Omer Mor (②:g). ©2025
1982年テルアビブ生まれのエズラは、ウッドベースを主楽器としたマルチ・プレイヤーで、ジャズ、ファンク、ラテン等を吸収した音楽性をワンマンで表現することを得意とする。この第5作でもその姿勢を基本としており、ベースのボディを打楽器的に使用する奏法は、アヴィシャイ・コーエンと共通。①は敬愛するエディ・ゴメスやジャコ・パストリアスの“歌心”を持ち味とした、自己の世界を展開。
- Heavy Drops – Live Session – Adam Ben Ezra:

2) ④Movimiento / Julian & Roman Wasserfuhr (from 『Safe Place』ACT Music 8011-2) 4:57
■Julian Wasserfuhr (tp,flh) Roman Wasserfuhr (p,b, ⑩:ds) Jörg Brinkmann (cello) Paul Heller (⑥⑦:sax) 2024.2-5, Germany
2009年にACTからアルバム・デビューしたドイツの兄弟デュオは、レーベル・ファミリーとして成長し、これが7作目。混沌とする世界の環境や日常からの避難場所として企図された作品であり、ブリンクマン、ヘラーとの真の友情が力の源泉であるとの信条を音楽に反映。④はチェロのオーセンティックな響きと兄弟デュオが美しく共鳴し、リスナーを安らぎへと導く、アルバム・コンセプトの象徴的なトラック。
●Julian & Roman Wasserfuhr – MOVIMIENTO:

3) ①Agapé / Pierre De Bethmann Quartet (from『Agapé』Alea ALÉA017) 10:15
■Pierre de Bethmann (p,syn) David El-Malek (ts) Simon Tailleu (b) Antoine Paganotti (ds) 2023.2.12, Paris
2023年2月11日録音の前作『Credo』の翌日に本作が録音されたのは、2011年録音作『Go』以来、久々のカルテット作ということで、気力、アイデア共々、P2Bのポテンシャルと、盟友と呼ぶに相応しいエル=マレクとのコンビネーション、および2名の新メンバーを含む演奏が全編で充実。①はシンセとテナーを含むサウンドにウェザー・リポートの要素が感じられて、P2Bの創作嗜好が興味をひく。
●P2B Quartet // Agapé:

4) ②Lullaby / Mathias Eick (from『Lullaby』ECM 2825) 6:57
■Mathias Eick (tp,vo,key) Kristjan Randalu (p) Ole Morten Vågan (b) Hans Hulbækmo (ds) 2024.1, Oslo
70年代のECM作、とりわけキース欧州4に最大の示唆を受けてきたアイクが、10年前から共演を希望していたランダルと、学生時代からの友人ヴォーガンを得た新カルテット。アルバム名が示すように、スローなナンバーが多くを占めるレインボー・スタジオ録音の全8曲。②はペトロス・クランパニスの最新作がそうだったように、ランダルがサイドマンとしての好演で貢献。
●MATHIAS EICK BAND | Bergen Jazzforum:

5) ⑤Lost Satellite / Iro Haarla Ouranos Ensemble (from『Under the Firmament』Willa Silva Records WSRLP-001) 7:35
■Iro Haarla (p) Jone Takamäki (ts,fl,shakuhachi) Ulf Krokfors (b) Aniida Vesala (ds) Aija Puurtinen (②⑨:vo) (c) 2024
フィニッシュ・ジャズを世界的なクオリティに高めた代表的女性ピアニストのイロ・ハールラが、夫クロクフォルスと娘アニーダを含む、ギリシャ語で“大空”を意味するユニットで制作した新作。ジャズの様式に囚われず、民族音楽的な要素を取り入れた音作りがこのアンサンブルの身上。⑤は場面転換を含む流れの中で、ピアノの内部演奏等のメンバー各自の即興で展開する構成がユニーク。

6) ①Smatta / Kenny Wheeler Legacy (from『Some Days Are Better – The Lost Scores』 Greenleaf Music CDGRE1113X) 5:12
■Ingrid Jensen (①:tp) James Copus (③⑥⑦:flh) Nick Smart (②⑧:flh) John Daversa (⑨⑪:tp) Brian Lynch (⑤:flh) Etienne Charles (⑩:flh) Joe Evans (⑥:tb) Sam Keedy (⑦:tb) Emma Rawicz (②⑤⑥⑩:ts) Evan Parker (②:ss, ⑦:ts) Donovan Haffner (④:as) Chris Potter (④;ts) Eric Law (⑤⑪:as) Donovan Haffner (⑧:as) Noah Chiai (⑤:bs) Scottie Thompson (①④⑧:p) Shelly Berg (③:p) Josh Beck (⑤:p, ⑥:el-p) Niklas Lukassen (②⑨:b) Ananda Brandão (⑨:ds) Immy Churchill (①:vo) Norma Winstone (②④:vo) Maria Quintanilla (⑥⑪:vo) Royal Academy of Music Jazz Orchestra and Frost Jazz Orchestra 2024.6.25-26, London
2014年に逝去したホイーラーの、世に知られていない楽曲を掘り起こし、著名人を含むミュージシャン、およびロンドンとマイアミのオーケストラが参画した一大プロジェクト。メンバーが入れ替わって、各曲に魅力的なソロイストをフィーチャー。プロデューサー兼任で最新伝記本の共著者でもあるニック・スマート(flh)の情熱と執念があればこそ実現した作品だと感嘆。①はホイーラー譲りと言っていいジェンセンと、成長著しいラウィッチが、素晴らしいソロを聴かせてくれる。
