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テーマ曲:Hispanica / Christian de Mesones (single, Christian de Mesones) 3:51
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1) ⑤XY / Tom Ollendorff (from『A Song For You』Fresh Sound New Talent FSNT615) 6:40
■Tom Ollendorff(g) Conor Chaplin(b) Marc Michel(ds) 2019.12.2,3, Wales
ロンドンを拠点に活動する英国人ギタリストのデビュー作。FSNTが制作したのは見逃せなくオレンドルフがギター・トリオで臨んだ潔さと、1曲を除いて自作曲を揃えた挑戦的な姿勢がいい。⑤はモダン・ジャズ・ギターの歴史とトリスターノ・スクールを吸収した痕跡が興味深く、この若手の将来性を感じさせる。

2) ③Boo Dip Dip / Joel Frahm (from『The Bridge Side』Anzic Records ANZ-0068) 6:17
■Joel Frahm(ts,ss) Dan Loomis(b) Ernesto Cervini(ds) 2019
ブラッド・メルドーとの近しい関係で知られるサックス奏者が、トロント大学のマスタークラスをきっかけに始動させ、10年間のライヴ活動を経て制作したピアノレス・トリオのデビュー作。③は作曲者でもあるフラームが縦横無尽にテナーを吹きまくり、回転のいいドラムと共にエネルギッシュなサウンドを展開。

3) ②Spring Ain’t Here / John Pizzarelli (from『Better Days Ahead』 (Ghostlight Records, digital only) 4:39
■John Pizzarelli(ac-g) 2020
60歳を迎えた2020年に相次いで両親を亡くしたピザレリが、10代からファンだったパット・メセニーのソングブックに挑戦。メセニー本人から楽譜提供を受けて確度を増した、初の全曲ナイロン7弦ギター指弾き独奏作で、歌なしの演奏に集中したのも初めて。『Letter From Home』収録曲の②はよくぞ隠れ名曲を発掘してくれたと感謝。

4) ⑩Wife’s Waltz / Nicolai Majland Trio (from『Welcome』AMP Music & Records AT091) 4:42
■Nicolai Majland(p) Thomas Fonnesbaek(b) Morten Lund(ds) (c) 2021
2015年にアルバム・デビューしたデンマーク人ピアニストの第2作。日本でも知られる巧者2人に交代したのも朗報で、マイランドがイタリア旅行中に書いた楽曲は美旋律が満載。ラーシュ・ヤンソンを想起させるセンスとタッチに好感。最終曲⑩はベース~ピアノのソロ・オーダーが効果的なトラック。

5) ⑨One For All / Josefine Cronholm-Kirk Knuffke-Thommy Andersson (from『Near The Pond』Stunt Records STUCD 20112) 3:50
■Josefine Cronholm(vo,per) Kirk Knuffke(cor,vo) Thommy Andersson(b) Kenny Wollesen(ds,vib,per) Lena Fankhauser, Marta Potulska(vla) Melissa Coleman(cello) 2019.10, Sweden
長くコペンハーゲン在住でデンマークの革新系実力派歌手と評されるスウェーデン出身のクロンホルムが、米国人クナフキーらと母国所縁のカール・サンドバーグの詩作に刺激され、自作詞曲等で構成。クナフキーが歌手、作曲者としても貢献する中、アンデション作曲の⑨はクロンホルムの器楽的歌唱とトラディショナル的曲調が合致する。

6) ⑥Kumbukumbu / Fabia Mantwill Orchestra (from『Em. Perience』XJazz Music XJM21001CD) 7:53
■Fabia Mantwill(cond,vo,ts) Orchestra [Felix Meyer, Konstantin Döben(tp,flh) Jan Landowski(tb) David Bernds(btb,tuba) Tilmann Dehnhard(sax,fl) Phillip Dornbusch (sax,fl,cl) Daniel Buch(sax,b-cl) Hauke Renken(vib,marimba) Charis Karantzas(g)
Thomas Kolarczyk(b) Marc Michel(ds) Milena Hoge(harp) + 11 strings] Kurt Rosenwinkel(②④:g) Nils Landgren(②:tb) & others (c) 2021
近年ヨーロッパでも少しずつ登場している女性ビッグ・バンド・リーダーにあって、93年ベルリン生まれのマントウィルはサックスとヴォーカルもこなす個性派であり、ストリングスを含む24人編成の大所帯も異色。このデビュー作はアフリカ、南米、アジアでの体験が作曲に反映されており、⑥はこの編成ならではのアドバンテージを発揮している。
