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テーマ曲:①A Little Kiss / Ken Navarro (from『Love Is Everywhere』Positive Music Records PMD 77808) 3:48
1) ⑧Simón / Diego Rivera (from『Love And Peace』Posi-Tone Records PR8239) 5:54
■Diego Rivera(ts,ss) Art Hirahara(p) Boris Kozlov(b) Rudy Royston(ds) 2021.6.6, NY
日本ではSEIKO SJCの指導者として学生ミュージシャンから尊敬を集めるサックス奏者のPosi-Tone第4作は、2022年の『Mestizo』からトランペットが抜けた同じメンバーのカルテット。自作曲を中心にコルトレーンやホレス・シルヴァーへの親愛も表明した全11曲。⑧は直球勝負のテナー・ソロが痛快で、ピアノ~ドラムの継投でバンドの魅力が燃え上がる。
2) ①Forward Motion / Trichotomy (from『To Vanish』Earshift Music EAR070) 4:13
■Trichotomy [Sean Foran(p) Samuel Vincent(b) John Parker(ds)] Nicole Tait(bassoon) Thomas Green(key) Danny Widdicombe(pedal steel guitar) 2019.12
学生時代の99年に結成し、2009年にアルバム・デビューしたオーストラリアのトリオは近年、弦楽四重奏やヴィブラフォンとのコラボで守備範囲を拡大。この最新作では2019年作で共演したブルース歌手がペダル・スティールギターで参加し、キーボードも入れた音作りが新境地。①はウィディコムをトリオの側に引き寄せた広がりのあるサウンドに仕上がっている。
3) ①Freedom Jazz Dance / Florian Arbenz (from『Conversation #9』Hammer Recordings) 7:41
■Greg Osby(as,ss) Arno Krijger(org) Florian Arbenz(ds,per) 2022.5.1, Basel
1975年生まれのスイス人ドラマーは、古い友人や子供時代のヒーローを迎えた12枚のシリーズを企画し、2021年からムタン、カンツィヒ、プシュニクらとの共演作をリリース。この第9弾はアルベンツが98年に初共演したオズビーとのトリオで、オリジナルとカヴァー各3曲を収録。エディ・ハリスの①はそれとはわからない形での即興演奏で進み、中盤で曲名を表明。さらにソロ・リレーでスリリングに展開する。
4) ④Kingdom Of Coldness / Bobo Stenson Trio (from『Sphere』ECM 2775) 7:37
■Bobo Stenson(p) Anders Jormin(b) Jon Fält(ds) 2022.4, Lugano
2018年発表の『Contra La Indecision』以来となる新作は、デンマークのペア・ノアゴー、スウェーデンのSven-Erik Bäck、フィンランドのシベリウスら、北欧の作曲家の楽曲を厚めにカヴァー。1944年生まれのステンソンは本作に至って、トリオと共に枯淡の境地に達したのが全9曲の印象。ヨルミン提供の④は、メンバー3人個々の動きを線的に追えば、興趣が増す。
5) ②Circus/Citadel, Pt.II / Antti Lötjönen Quintet East (from『Circus/Citadel』We Jazz Records WJCD49) 6:01
■Verneri Pohjola(tp) Mikko Innanen(as,bs,oboe) Jussi Kannaste(ts) Antti Lötjönen(b) Joonas Riippa(ds) © 2023
フィンランドのトップ・ベーシストがチャーリー・ヘイデンを参照したようなユニット名で、2020年にアルバム・デビュー。この第2弾は60年代のオーネットやミンガスの演劇性を想起させる米国のジャズを音楽性のルーツとしているのが特色で、全7曲中、最初の3曲を組曲したのが目をひく。②はロジョネンのベースが通軸となった、バンドのハード・ヒッターぶりを体感。
6) ③Cryin’ Won’t Help You / Paul Carrack & SWR Big Band (from『Don’t Wait Too Long』Carrack-UK PCARCD36) 4:29
■Paul Carrack(vo,p,org,g) SWR Big Band © 2023
英国のヴェテランSSWで、90年代以降のツアー・メンバーを務めるエリック・クラプトン・バンドでの4月の来日も予定されているキャラックは、2005年作以降、ジャズ・ミュージシャンとの共演作も数多いドイツSWRとのコラボを継続。本作は20~60年代に生まれた楽曲のカヴァー集で、③は共演歴があるBBキングに捧げたブルージーなシャッフル・ナンバー。