全曲試聴: https://open.spotify.com/playlist/61DjSoXLN06XJOJp4MPN0C
テーマ曲:Sean U / U Groove (Sean Uliasz, single) 4:18
1) ④Un’ora Sola Ti Vorrei / Christian Pabst (from『The Palm Tree Line』Jazzsick Records 5170JS) 4:29
■Christian Pabst(p,el-p) Francesco Pierotti(b) Lorenzo Brilli(ds) Ilaria Forciniti (③⑦:vocals) Federico Gili(③:accordion) 2022.6.21, 9.12, Arezzo, Italy
ドイツ生まれで、ペルージャ在住の鍵盤奏者は、2011年のアルバム・デビュー以来、オリジナル曲を中心に4タイトルを制作しており、ルボシュ・ソウクプとのデュオ作『Levitas』も記憶に新しい。これはイタリアン・トリオを始動させて取り組んだ初のカヴァー曲集で、バーンスタイン、ニーノ・ロータ、エルネスト・レクオーナ、アルマンド・トロバヨーリ等をカヴァー。67年のオルネラ・ヴァノーニ歌唱バラード④「恋のひととき」を、ドラマティックにアレンジしたパブストの演奏が秀逸だ。
2) ②Hsiu Chin / Chien Chien Lu (from『Built in System』Giant Step Arts) 7:23
■Chien Chien Lu(vib) Jeremy Pelt(tp) Richie Goods(b) Allan Mednard(ds) 2023.1.12, NYC
台湾出身で2015年に米国へ留学し、ジェレミー・ペルトとの出会いによってプロへの道を切り開いたヴィブラフォン奏者。カヴァー曲で斯界の先人への敬意を示した2020年のデビュー作『The Path』に続く個人名義第2弾は、全8曲を自作で固めたカルテット作。ペルトが全編で活躍する中、②はクールなヴァイブ・サウンドにルーの美意識が凝縮されている。
3) Disc-1⑤Budo / John Scofield (from『Uncle John’s Band』ECM 2796/97) 4:11
■John Scofield(g) Vicente Archer(b) Bill Stewart(ds) 2022.8, NY
ジョン・スコ・トリオを聴く楽しみはギター、およびトリオ表現にあることは間違いないが、個人的にはスチュワートの妙技を毎回、堪能している。スティーヴ・スワロウからアーチャーに交代したことによるトリオ・サウンドの変化と同時に、スチュワートの比重が上昇。マイルス・クインテット・ヴァージョンを参照したというDisc-1⑤はドラム・ソロ付きが嬉しい。
4) ⑤Hush Now / Eivind Aarset and Jan Bang (from『Last Two Inches of Sky』Punkt Editions/Jazzland 377 9551) 6:11
■Jan Bang(sampling,syn) Eivind Aarset(g,electronics) Audun Erlien(b) Anders Engen(ds) Adam Rudolph(per) Nona Hendryx(②:vo) Time Elsenburg(⑦:vo,syn,p) Erik Honoré(③:syn, ⑦:mix) Gianluca Petrella(②:tb) © 2023
数あるノルウェーのジャズ祭にあって、2000年代から先鋭的な領域を開拓し続ける《Punkt》、および同名のプロジェクトの中心人物は近年、7月恒例の《ボンクリ》で日本でのリスナー層も広げている。両名のダブル・リーダーによる全8曲の本作は、ミニマルでアンビエントなサウンドを基本としており、⑤は今やこのジャンルの匠と呼べる音作りの繊細な妙技を堪能。
5) ⑦⑧Mouvement / Lucas Niggli Sound Of Serendipity Tentet (from『Play!』Intakt CD 406) 8:59 / 3:20
■Silke Strahl(ts) Marc Unternährer(tuba) Marina Tantanozi(fl,electronics) Dominik Blum(org) Tizia Zimmermann(accordion) Christian Weber(b) Peter Conradin Zumthor(ds,celesta) Lucas Niggli(ds,melodica) Helena Winkelman(vln) Joana Maria Aderi(vo,electronics) 2023.1.5,6, Zurich
30年以上にわたって前衛畑を歩み続けるスイスのドラマーは様々なプロジェクトをIntaktで発表。“運よく見つけた音の十重奏団”と名付けられたユニットは、カード・ゲームによる偶然性を導入したコンポジションとインプロヴィゼーションをサウンド・コンセプトに据えたのが特徴。楽器の組み合わせと個人の力量に左右される演奏は、それまでゴールが予測不能だった⑦を経て、納得の⑧に落着する。
6) ③The Love Suite: In Mahogany – Obviously Destined / Roy Hargrove (from『The Love Suite: In Mahogany』Blue Engine, digital) 7:07
■Roy Hargrove(tp) Jesse Davis(as) Ron Blake(ts) Andre Hayward(tb) Marc Cary(p) Rodney Whitaker(b) Gregory Hutchinson(ds) 1993, NYC
49歳の若さで逝去したトランペット奏者が、生涯に1度だけ演奏したJALCの委嘱組曲の未発表ライヴ音源が、没後5年のタイミングで作品化。93年発表作『Of Kindred Souls』とほぼ同じメンバーによる4管セプテットは、当時23歳のハーグローヴが後に始動するビッグ・バンドへの布石をすでに行っていたとも考えられて興味津々。全7曲からの③は60年代マイルス~80年代ウィントン~の歴史の継承が重なるトランペット・ソロに感動する。