全曲試聴: https://open.spotify.com/playlist/1RIE48uH7e4hrWjCoYQvRB
●テーマ曲:⑨Can’t Stop Tryin’ / Norman Brown (from『It Hits Different』 Shanachie SHA5513) 3:51
1) ③The Imitation Game / Willie Morris (from『Attentive Listening』Posi-Tone PR8254) 4:29
■Willie Morris (ts) Patrick Cornelius (as,⑥:a-fl) John Davis (p) Boris Kozlov (b) Rudy Royston (ds,⑥:per) 2023.2.7, Brooklyn, NY
少年時代をセントルイスの音楽シーンで過ごし、昨年『Conversation Starter』でソロ・デビューしたニューヨーカーが、ベース&ドラムを入れ替えた布陣で早くも第2弾をリリース。全10曲中、半数をモリスが書き、コーネリアスとデイヴィスが各2曲を提供。モリスの自作曲③は2管ユニゾン・テーマのアップ・ナンバーで、引き締まったエンド・テーマに至るまでの一体感が痛快。
2) ⑦Riding For A Fall / Michael Arbenz (from『Classicism – A Point Of View』self-released) 8:06
■Michael Arbenz (p) 2023.8, Basel
2023年に独奏によるエリントン曲集『Reflections of D』をリリースしたスイス人ピアニストが、自身の音楽的基盤であるクラシックを題材に、独自の視点で解釈~アレンジ。バッハ、ドビュッシー、ドボルザーク等、全7曲にあって、ベニー・グッドマンが初演した「クラリネット協奏曲」(ヒンデミット作曲)に基づく⑦は、アルベンツの技巧が冴えわたる仕上がりだ。
●”Classicism – A Point Of View” – “Brilliant Moon”:
3) ②She Moves / Empirical (from『Wonder Is The Beginning』Whirlwind Recordings WR4820CD) 5:49
■Empirical [Nathaniel Facey (as: omit⑤) Lewis Wright (vib) Tom Farmer (b: omit⑤) Shaney Forbes (ds: omit⑤)] Jason Rebello (p: omit④) Alex Hitchcock (①③④:ts) 2022.12.21,22, London
2007年にデビューし、当時最も有望な英国若手と評されたユニットの、2016年以来となるフル・アルバム。近年はポップアップ会場でのライヴで成果を挙げてきた彼らが、本作では15年前に抜けたピアニストの座にゲストを迎えた編成で、新生エンピリカルを印象付ける。②は80年代の新星だったリベロのソロを織り込んだ作曲が、超世代を繋げた点でも感慨深いトラック。
4) ⑤2.2 / Spëcht (from『Tryptiques』Zephyrus Records ZEP067) 5:19
■Simon Leleux (darbuka,doholla,udu,soundscapes) Robbe Kieckens (bendir,set up, Kalimba) Célestin Massot (log drum,cajon,snare,key) © 2024
ジャズでは珍しいと同時に、ベルギーからの登場も興味深いパーカッション・トリオは、ハンズ・イン・モーションから改名して本作に到達。3人それぞれが複数のアコースティック楽器を使用しながら電気的要素も加えて、サウンドを拡張するのが音作りの特徴で、①「1.1」から⑨「3.3」までのナンバリングによる曲名は、楽曲に対する聴き手の先入観を避けるためかも。⑤は場面転換を盛り込んだ構成と、役割分担を含めた3人の協調関係が素晴らしい。
●spëcht – Triptyque I (Music Video):
5) ⑤One Testament. One Aim. One More To Go. Again. / Fire! (from『Testament』Rune Grammofon RCD2234) 10:37
■Mats Gustafsson (bs) Johan Berthling (b) Andreas Werlin (ds) 2022.12.14-15, Chicago
2009年結成のスウェディッシュ・トリオは、全員がマルチ奏者で電気楽器も使用し、ジム・オルーク、ゴラン・カイフェシュらゲストを迎えながら7タイトルをリリース。この第8弾は各人が一つの楽器に限定したのが特徴で、ゲスト無しのシンプルな編成で臨んだ点が潔い。最終曲⑤は前半でグスタフソンのバリサクが大暴れし、後半は対照的な雰囲気を醸し出す。
6) ⑦Bring Back The Nineties / Jeremy Rose & The Earshift Orchestra (from『Discordia』Earshift Music EAR082) 3:54
■Jeremy Rose (cond, ⑥:ss, ③⑧:b-cl) James Powers, Thomas Avgenicos, Simon Ferenci, Ellen Kirkwood (tp) James Macaulay, Jacob Parks, Cailey Mei Soon, Nick Barnard (tb), Tessie Overmeyer, Hinano Fujisaki (as) Michael Avgenicos, Lachlan Hamilton (ts) Nick Bowd (bs) Novak Manojlovic (key) Hilary Geddes (g) Jacques Emery (b) Chloe Kim (ds) 2023.1.12, Sydney
シドニーを拠点にするローズ(1984~)は自己のユニットで活動し、2009年に自主レーベルを設立。本作は2016年にアルバム・デビューしたビッグ・バンドの第3弾。「現代を生きる人々が直面する問題と社会の危険性を明らかにして、希望を見出すこと」をコンセプトとしており、ローズのメッセージ性の強い作曲センスを全9曲で展開。⑦はハーモニーとリフに90年代ポップスの要素を取り入れた、ポジティヴなトラック。