全曲試聴: https://open.spotify.com/playlist/7ADzTPFfkUMehddZ2UelPW
テーマ曲:④Crush / Blake Aaron (from『Love and Rhythm』Innervision Records) 4:17
1) ②Ditty for Dewey / Peter Bernstein (from『Better Angels』Smoke Sessions SSR2406) 6:11
■Peter Bernstein (g) Brad Mehldau (p) Vicente Archer (b) Al Foster (ds) 2024.4.1, NYC
ラリー・ゴールディングス+ビル・スチュアートとのトリオを始め、近年の目覚ましい活躍が特筆されるバーンスタイン。本作でまず目を引くメルドーの参加は、自身のデビュー作『Somethin’s Burnin‘』(92年)での共演に由来すると知れば、異なる道を歩んで地位を確立したベテラン2人の30年超を経た友情関係がここに結実したと理解できる。「ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド」「ラメント」「危険な関係のテーマ」といったメルドーのレパートリーではない楽曲も聴きどころで、バーンスタインの自作②は、ピアノをフィーチャーし、リラックスしたメルドーを捉えた点が価値あり。
2) ②Eventually / Pierrick Pedron (from『The Shape Of Jazz To Come (Something Else)』 CONTINUO Musique CC777761) 5:55
■Pierrick Pédron (as) Carl-Henri Morisset (p) Thomas Bramerie (b) Elie Martin-Charrière (ds) © 2024
2001年のデビュー作『Cherokee』以来のペドロン(1969~)・ウォッチャーである私にとっても、この展開は意外。オーネット・コールマン『ジャズ来るべきもの』(1959年)の全6曲を同じ曲順で収録したカバー作。ビバップを土台にしたスタイリストが、実はオーネットの影響を受けていたことは、聴けば納得。トランペットが不在のカルテットなのがポイントで、②はペドロンの技巧と勢いのあるバンド・サウンドを十分に堪能。
●The Shape of Jazz to Come (Something else) -Studio time:
3) ⑥Hunting For What? / Eric Vloeimans’ Hotspot (from『Pinkie Binkie, Vol.2』V-Flow Music) 6:29
■Eric Vloeimans (tp,effects) Sjoerd van Eijck (el-p,key) Jerome Hol (g,effects) Phaedra Kwant (b,effects,vo) Pascal Vermeer (ds) © 2024
オランダのフロイマンスが2000年代後半に活動したエレクトリック・カルテットGatecrashの編成にギターを加えた新クインテットHotspotの2枚組に続く続編が早くも登場。バンドのサウンド・コンセプトは軽やかで、ダンサブルで、リスナーを楽しませることに主眼が置かれている。⑥はステージの熱気と会場の盛り上がりぶりが伝わってくる最終曲。
●Eric Vloeimans HOTSPOT!:
4) ②Moss / Ali Watson (from『Terrarium』self-released) 5:51
■Matt Carmichael (ts) Alan Benzie (p) Ali Watson (b) Greg Irons (ds) (c) 2024
スコットランドで生まれロンドンで学び、2022年からグラスゴーを拠点にするベーシストの初リーダー作。アルバム名は陸上の生物をガラス容器で飼育・栽培する技術に、本作の体裁を象徴させたもので、自作の全9曲を収録。母国の自然環境を反映したと想像できる牧歌的な楽曲が認められる中、②はベースがソロを先発し、テナーの柔らかいトーンが楽曲コンセプトに貢献している。
5) ③Sweet Dulcinea Blue / Norma Winston, The North (from『Wheeler With Words』 (AMM 91) 6:35
■Norma Winstone (vo) Percy Pursglove (tp) Mike Murley (ts) Nikki Iles (p) Johnny Åman (b) Anders Mogensen (ds) (c) 2024
英国の大御所歌手がアジマスのパートナーだったケニー・ホイーラーの楽曲にスポットを当てたソングブックが、没後10年のタイミングでリリース。母国のアイルズとパースグラヴに、カナダのマーレイ、北欧のオーマンとモーゲンセンからなる多国籍クインテットがサポート。今年83歳のウィンストンが飽くなき探求心で創作活動に取り組む姿勢が貴い。③はビル・エヴァンスが『クインテッセンス』でカヴァーしたナンバーで、バンドとの合唱が聴きどころ。
6) ①In Good Hands / Simon Oslender (from『All That Matters』Leopard DD-31453) 5:44
■Simon Oslender (key,org,p) Steve Gadd (ds) Jakob Manz (as) Bruno Muller (g)
Will Lee (elb) special guest: Nils Landgren (tb) © 2024
ドイツ生まれのジモン・オスレンダーは、昨年ウォルフガング・ハフナー・バンドで来日した鍵盤奏者。これは2020年のデビュー作、2022 年のセカンドに続く第3弾。日本との所縁が深いガッドと、今も若々しいリーの参加がポイントで、ブリーチャー・ヘマー・ガッドを北欧活動の拠点とするガッドにとっては、活動拡大の意識があったのではないだろうか。ここ10年間のガッド関係作では、ドラムの響きが最も素晴らしいのが本作の美点。①はアルトのマンツが大活躍のアップ・ナンバー。
●SIMON OSLENDER – STEVE GADD – WILL LEE | All That Matters | MAKING OF: