全曲試聴:https://open.spotify.com/playlist/61URoDoezHZxH4EbHqdxk7
テーマ曲:⑦Journey To Love / Nathan Mitchell (from『It’s My Time』Trippin N Rhythm) 4:40
1) ②Parker’s Brood / Michael Dease (from『Best Next Thing』Posi-Tone Records PR8232) 4:42
■Michael Dease(tb) Alex Sipiagin(tp) Rudresh Mahanthappa(as) Renee Rosnes(p) Boris Kozlov(b) Rudy Royston(ds) 2021.9, NY
近年は教育者として日本の若者を指導するトロンボーン奏者の、9枚目のリーダー作は、マハンサッパやロイストンのように意外な人選を含むオールスターズ。全10曲はスティーヴ・トゥーレ、チャールズ・トリヴァーらジャズ・オリジナル6曲をカヴァー。自作4曲からの②はバリー・ハリスに捧げたナンバーで、バップ・スピリットを継承する姿勢がいい。
2) ①Interwined / Avishai Cohen (from『Shifting Sands』Naïve M7594) 5:40
■Avishai Cohen(b) Elchin Shirinov(p) Roni Kaspi(ds) 2021.8, Goteborg
交響楽団との昨年発表作『Two Roses』で念願の成果を挙げたベーシストが、2019年の前々作からレギュラーになったアゼルバイジャン人のシリノフ、および21歳の女性ドラマー、カスピとの新トリオをお披露目。1曲を除くすべてを自作とした全10曲は、従来通りのアヴィシャイらしい作曲センスを展開。①はそれをよく理解して表現するメンバーの力量も称賛したい。
3) ⑤Child’s Song / Enrico Rava, Fred Hersch (from『The Song Is You』ECM 2746) 7:09
■Enrico Rava(flh) Fred Hersch(p) 2021.11, Lugano
巨匠どうしによる初のデュオ作。ECMにおいて、70年代以来の録音歴があるラヴァと、これが初録音のハーシュは対照的な関係ながら、デュオ作の経験が豊富なハーシュがそのギャップを感じさせない自然体で会話を成立。モンクの2曲を含むスタンダード・ナンバー主体の全8曲にあって、⑤は両者の美点が引き出されたハーシュ・オリジナル曲。
4) ④Magic People Dance / Vladimir Samardžić (from『Catching The Wind』SKC NS, 2022) 7:32
■Vladimir Samardžić(bass-g) Marco Antonio da Costa(②~⑤:g,⑤:vo) Nenad Gajin(⑦~⑩:g) Dado Marinković(ds,②:per) Andreja Krstić(⑥⑪:per) Thana Alexa(①②:vo, effects) 2019-2021, Zagreb
1970年生まれのセルビア人ベーシスト、ウラジミール・サマーチチが、クロアチアの小都市グロジュニャンにインスパイアされて、リーダー第2弾となる本作のアイデアを拡張。トリオを基本とした音作りは、リチャード・ボナ、ジョン・スコフィールド、マイク・スターンを想起。④は70年代のフュージョン/ソウルを参照したようなサウンドに好感。
5) ④Diamonds On White Fields / OM (from『50』Intakt CD 388) 10:51
■Urs Leimgruber(ss) Christy Doran(g,devices) Bobby Burri(b,devices) Fredy Studer(ds,per,gong,crotales,bowed metal) 2022.3.1-5, Stalden, Switzerland
72年結成のスイスのエレクトリック・フリー・ジャズ・バンドは、5タイトルを制作して82年に活動を休止。不動のオリジナル・メンバーが2006年に再始動すると、各人の経験をフィードバックして新たな歴史を構築。このIntakt第3弾でも衰えない前衛精神を発揮しており、④は予測不能な展開の中で作曲者のドランが終盤に道筋をつける。録音から5ヵ月後に急逝したスチューダーへの、企図しない追悼作。
6) ⑨My Little Brother / Steve Gadd, Eddie Gomez, Ronnie Cuber, WDR Big Band (from『Center Stage』Leopard D-77107)5:05
■Steve Gadd(ds) Eddie Gomez(b) Ronnie Cuber(bs) Bruno Mülle(g) Bobby Sparks II (org,el-p) Simon Oslender(p,org) Michael Abene(cond,arr) WDR Big Band 2022.1.30-2.3, Cologne, Germany
70年代からジャズ~フュージョン・シーンの歴史を作ってきたガッドが、10年越しで実現させたドイツを代表する楽団とのコラボ作。長年のパートナーであるゴメス、キューバーと共に、色褪せないスタッフやガッド・ギャングのレパートリーをリメイク。リチャード・ティーとエリック・ゲイルを体得した欧州の助演者にニヤリ。⑨のドラム・ソロに名人芸を体感。10月に永眠したキューバーに合掌。