1969年にドイツ・ミュンヘンで設立されたECM Recordsは、今年で50年という大きな節目を迎えた。その記念事業としては、入手困難だったアイテムを含むペーパースリーヴ仕様のリイシュー・シリーズ“Touchstones”の50タイトルがすでにリリースされている。
今回スケジュールが発表されたのは、“ECM Records at 50”と題したコンサート。米ニューヨークを代表する文化事業体であるリンカーン・センターのローズ・シアターで、2019~2020年度のイヴェントの一つとして11月1、2日に開催される。
出演者は以下の通り。ワダダ・レオ・スミス、エンリコ・ラヴァ、ラルフ・アレシ、アヴィシャイ・コーエン(tp) 、ジョー・ロヴァーノ、ラヴィ・コルトレーン、マーク・ターナー(ts)、 マリリン・クリスペル、クレイグ・テイボーン、ヴィジェイ・アイヤー、ニック・ベルチュ、イーサン・アイヴァーソン、ジョヴァンイ・グイディ、シャイ・マエストロ、アンディ・ミルン、ファビアン・アルマザン(p)、メレディス・モンク(p,vo)、 ビル・フリゼール(g)、 エグベルト・ジスモンチ(p,g)、アンヤ・レヒナー(cello)、ラリー・グレナディア、ドリュー・グレス、マシュー・ギャリソン、トーマス・モーガン、デズロン・ダグラス、バラク・モリ(b)、ジャック・ディジョネット、アンドリュー・シリル、ナシート・ウェイツ、マーク・ファーバー、ジヴ・ラヴィッツ、カーメン・カスタルディ(ds)。現在77歳のジャック・ディジョネットは、自身のスペシャル・エディションやキース・ジャレット・トリオ等、ECMで最多のレコーディング作品を誇るアーティストだ。
これらの出演ミュージシャンがどのような編成で演奏するのかに関しては明らかではないが、シャイ・マエストロは自身のニュース・レターで、以下のコメントを発表している。「ジャック・ディジョネット、ラリー・グレナディア、アヴィシャイ・コーエンと、11月にNYCで開催されるECM50周年祝賀祭で演奏できることを嬉しく思っています」。
レーベル所縁のバンドが編成されることが予想される中、ECM New Series発足前にアルバムを発表したパイオニア的存在であるメレディス・モンクや、ソロ・アクトで魅力が発揮されると思われるエグベルト・ジスモンチの存在も際立つ。
ECMとニュ-ヨークの関係を振り返ると、同地新春の風物詩として定着している《Winter Jazzfest》の2016年1月開催回で大きな足跡を残した。同年の第12回ではアヴィシャイ・コーエン(tp)、クリス・ポッター、マーク・ターナー(ts)、クレイグ・テイボーン、ヴィジェイ・アイヤー、ダヴィ・ヴィレージェス(p)、デヴィッド・トーン(g)、マイケル・フォーマネク(b)、テオ・ブレックマン(vo)ら13組が、2日間にわたってNYの音楽ファンを魅了している。
ECMの記念すべき第1回作品となったマル・ウォルドロン(p)『フリー・アット・ラスト』(ECM 1001)は、1969年11月24日録音だったこともあり、今回のイヴェントを11月に定めたものと思われる。