2017年9月1日に東京・港区のカナダ大使館で、オスカー・ピーターソンの胸像除幕式が開催された。これは同館地下2階の会場が「オスカー・ピーターソン・シアター」と命名されたこと、およびピーターソンの逝去から10年の節目に当たって企画されたもの。オタワの美術館に自作のピーターソン像が収蔵されているカナダの彫刻家ルース・アバネシーが、ピーターソンのケリー夫人との間で日本への感謝の印として贈る胸像について話し合ったのが、この日に至る発端となった。
式典はまず檀上にアバネシー、ピーターソンの末娘セリーヌ、晩年のピーターソンに薫陶を受けたピアニストのロビ・ボトス、イアン・バーニー駐日大使による除幕でスタート。続くトーク・セッションでは幼少期から父に帯同して世界各地を訪れたセリーヌと、師匠の教えを大切に考えるボトスに、ジャズ評論家の杉田宏樹氏がピーターソンとのエピソードを尋ねた。現在ソーシャル・メディア・マネージメントの事業に携わるセリーヌが、音楽教育の重要性を力説した。
1ニバス・トリビュート作『Oscar, With Love』に参加。このタイミングで《東京JAZZ》にも出演することで日本での認知を高めたいピアニストは、ピーターソンが母国への郷愁を作曲に反映した「ホイートランド」等、師へのトリビュートを前面に出した選曲によって、最後の弟子に相応しい実力者ぶりを印象付けた。