ミュージシャンがお気に入りのジャズクラブを紹介する新シリーズです。その第1弾は、ヴェテラン女性ヴォーカリストの山岡未樹が登場。推薦する“銀座Swing”について、自身のキャリアと合わせて語っていただきました。
—―初めて出演された頃のことを教えてください。
山岡:初出演は35年くらい前です。現在の店舗に出演したのは当時、数回でした。その後、銀座・松坂屋の裏にあった店舗に、ほぼ毎月出ていました。当時の“Swing”は新橋を含めて3店舗を経営していたんですよ。私がデビューしたての頃は、八城一夫(p)さんのトリオと共演。デビュー作『アイム・ア・ウーマン』(81年)が前田憲男(p)さんのウィンドブレイカーズとの共演だったので、前田さんとご一緒することもありました。
—―前田さんとは現在まで、長いお付き合いになりますね。
山岡:2011年のデビュー30周年記念作『アイム・ア・ウーマン…ナウ』でも前田さんにお願いして、ウィンドブレイカーズと共演しました。同作をきっかけに、ライヴハウスでの共演を提案して、現在まで継続しています。
—―“銀座Swing”の魅力とは?
山岡:他のお店にない特徴は、カウンターの中にステージがあること。お客様が目の前にいるこの環境が歌いやすいかどうかは、慣れの問題でしょうね。私はこのお店の大きな魅力だと思っています。お客様に対する飲食のサーヴがしっかりしているのも良いです。会員に毎月DMを郵送しているのも好評。今はホームページを見てください、というお店が多い中では貴重な存在でしょう。お客様に対するサーヴィス精神が、他のお店とは違います。また今どきはお店が集客をせずに、出演者が集客をするのが一般的。都内で増えている30席規模のお店に比べると、90席のこちらは集客が大変なのですが、ミュージシャンの負担を軽減してくれる点でも好ましく感じています。
—―音楽的な面に関してはいかがでしょうか?
山岡:ピアノの調律を行う頻度が高いことが挙げられます。ジャズクラブやライヴハウスのピアノは器種やコンディションが様々ですし、定期的なメンテナンスがおろそかになることもあるでしょう。ピアノの良い状態が保たれていることは、ピアニストばかりでなく、ヴォーカリストを含めたすべてのミュージシャンにとって重要なことなのです。
—―今日は「山岡未樹with前田憲男Trio And Special Guest」のシリーズとしての出演になります。
山岡:このシリーズは2013年にスタートしました。前田さんと私のスケジュールを調整しながら、年に3、4回出演。向井滋春(tb)、松島啓之(tp)、原朋直(tp)。近藤和彦(as)、川嶋哲郎(ts)—―トリオに迎えるスペシャル・ゲストなので、管楽器のみなさんがいいと思って。今日はシリーズの15回目で、ご一緒するのは2回目になる細野よしひこ(g)さん。細野さんは前田さんの編曲手法を学ばれたこともあって、前田さん好みのアレンジャーです。
—―今後のシリーズの予定を教えてください。
山岡:具体的には何も決まっていないんですよ。後で前田さんと相談してみるつもりです(笑)。
(2018年4月7日、銀座Swingにて取材)
<銀座Swing 岸下昇マネージャーより>
1976年の創業以来、89歳を迎えた日本ジャズ界の至宝クラリネット奏者・北村英治氏を始め、数々のトップ・ミュージシャンの名演を刻み込んできた歴史あるジャズクラブです。ステージを囲んで客席が配置され、どの位置からでも迫力ある演奏を真近に楽しめます。ピアノ・トリオからビッグ・コンボまで、トラディショナルからモダンまでのジャズはもちろん、ブラジル、ラテンなどエンターテインメント溢れるステージが毎夜繰り広げられています。ぜひお越し下さい。
<銀座Swing>
〒104-0061東京都中央区銀座西2丁目2番地 銀座インズ2-2F
[TEL]03-3563-3757
営業時間
【平日】祭日を除く月曜日~土曜日/18時~23時
【日・祭日】16時30分開店・17時30分開演(ライブによって時間の変更あり)
ミュージックチャージ:3,240円~
ウェブサイト:http://ginzaswing.jp/
<山岡未樹>
北海道歌志内市生まれ。千歳市で小学校、小樽市で中学校と高校時代を過ごし、上京後ジャズを独学で習得。1989年第5回日本ジャズ・ヴォーカル賞「新人賞」受賞。2007年 第23回日本ジャズ・ヴォーカル賞「大賞」受賞。現在までに10枚のアルバムを発表。前田憲男、トミー・フラナガン、ロン・カーター、ジョー・ヘンダーソン、ベニー・ゴルソン等、錚々たるミュージシャンとレコーディング・共演を果たす。最新作はベニー・ゴルソン(ts)・プロデュースによる『ワン・デイ・フォーエヴァー』(2015年)。