1970年代に洋楽好きの若者に多大な影響を与えたブラス・ロックの先駆的バンド、シカゴの創立メンバーであるダニー・セラフィン(ds)が、自己のリーダー・バンドCTA(California Transit Authority)を率いて初来日公演を行う。CTAは2006年に始動し、これまでに2枚のアルバム『フル・サークル』、『セイクレッド。グラウンド』をリリース。セラフィンはシカゴの前身である67年結成の“ビッグ・シング”からのメンバーで、69年にアルバム・デビューしたシカゴのドラマーを90年まで務めた。
その後は別の道を進んだのだが、CTAの結成によって古巣の音楽レガシーを自分流に継承・発展させる活動へとシフト。老舗バンドの本家・分家案件は枚挙に暇がないが、シカゴとセラフィンの関係について言えば、シカゴがメンバーを交代しながら大看板を守り続けていることを、OBとして見守っている様子がウェブサイトから伝わってくる。
20代に豊饒な経験をしたセラフィン(1948~)が、キャリア後半の今CTAを運営するのは、本家シカゴとは異なる思いがあるからこそ、だろう。それはずばりドラム。初期シカゴ・ファンをわくわくさせてくれたサウンドのリズムの要を担っていたのがセラフィンだった。
来日メンバーは80年代から2000年代までシカゴに在籍したビル・チャンプリン(vo,g,key)と、70年代末のシカゴ作に参加したドニー・デイカス(g)が決定。今回の公演は3管を擁する10人編成となる。初期シカゴのグループ名Chicago Transit Authorityを拝借したネーミングに、自身が率いるユニットへの熱い想いが重なるセラフィン。本家シカゴと変わらぬサウンド・インパクトと、お馴染みのレパートリーを含むプログラムに期待が寄せられる。