Jul 23, 2020

NEW DISCS ＜2020-07-01＞

キーワード : ボビー・ワトソン／ムラトゥ・アスタトゥケ／レイクシア・ベンジャミン／マーティン・シャック／ヴェルネリ・ポーヨラ／ヘドヴィグ・モレスタ

●全曲試聴：https://open.spotify.com/playlist/6uCcOCb1dBxCS6iPRDJ2zQ

テーマ曲：②New Bounce / Oli Silk (from『6』Trippin‘N’Rhythm Records TNR116)

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1) ①Mulatu / Mulatu Astatke & Black Jesus Experience (from『To Know Without Knowing』Agogo Records ‎– AR 135 CD) 6:20

■Mulatu Astatke(vib,el-p,congas) Ian Dixon(tp,flh) Peter Harper(ts) Dominique Chaseling(fl) Bob Sedergreen(p) Zac Lister(g,cho) Haftu Reda(masinko) Richard Rose(b) James Davies(ds) Olugbade Okunade(congas,shaker) Kahan Harper(shaker,wood block) Addisalem Taye, Corry Harper, Mearge Abate(cho) (c)2020

エチオ・ジャズの始祖としてジャンルを超えて影響を与えているムラトゥ・アスタトゥケが、2016年作に続いてオーストラリアのBJEと共演。すべてを包み込むような大らかさのあるサウンドはここでも不変。ヴォーカルやラップを入れた現代的仕様に、音楽家としての進歩的姿勢を聴く。自身の名前を冠した①は2部構成で楽しませてくれる開幕曲。

2) ②Prema / Lakecia Benjamin (from『Pursuance: The Coltranes』Ropeadope Records RAD-535) 6:02

2012年にアルバム・デビューしたアルト奏者の第3弾。ジョン・コルトレーンのみならずアリス・コルトレーンの楽曲にも注目したカヴァー集は、ほとんど前例が浮かばないアイデア賞もの。ディー・ディー・ブリッジウォーター、ミシェル・ンデゲオチェロら多彩なゲストを迎えた全13曲は、スピリチュアルなムードが横溢。偉大な巨人への強い敬愛が伝わってくる。

3) ⑥Nu er jord og Himmel stille / Martin Schack (from『Jazz på Dansk – Den Yndigste Rose』Gateway Music) 8:06

デンマーク人ピアニストのシャックは、これまで母国の古謡を集めた3タイトルを発表。そのシリーズ最新作は18世紀の作曲家ハンス・アドルフ・ブロルソンの賛美歌を中心としたプログラムで、スロー・テンポに傾かないアレンジで楽しませる。⑥はシーネ・エイの参加で価値が高まった。

4) ②Wilder Brother / Verneri Pohjola (from『The Dead Don’t Dream』Edition Records EDN1153)

■Verneri Pohjola(tp) Pauli Lyytinen(ss) Tuomo Prättälä(p,electronics) Antti Lötjönen(b) Mika Kallio(ds) 25:37019.9.3,5, Järvenpää, Finland

フィンランドのトップ・トランペッターによるEdition第4弾。ロック、エレクトロニクスを取り入れた過去作の成果を反映した音作りが特徴で、カルテットを基本に数曲でゲストが参加。②はソプラノとのユニゾン・テーマで始まり、バンド感を打ち出したトラックだ。

5) ⑤Ekhidna / Hedvig Mollestad (from『Ekhidna』Rune Grammofon RCD2215) 9:06

■Susana Santos Silva(tp) Erlend Slettevoll, Marte Eberson(el-p,syn) Hedvig Mollestad Thomassen(g) Torstein Lofthus(ds) Ole Mofjell(per)　 2020.1-2, Oslo

トリオよりも大きいバンドのための作曲を考えていたモレスタが、ノルウェー《Vossajazz 2019》の委嘱を受けて書いた作品を、アルバム・サイズの約40分に再編したスタジオ録音。全編にわたって強力なギターとドラムがサウンドの核となっており、⑤は前半でシルヴァが大活躍。場面が転換した後半は鍵盤主体の合奏で、若きリーダーの統率力を示す。

6) ③Elementary My Dear Watson 2020 / Bobby Watson (from『Keepin’ It Real』Smoke Sessions Records SSR2004) 7:51

■Bobby Watson(as) Josh Evans(tp) Victor Gould(p) Curtis Lundy(b) Victor Jones(ds) 2020.2.20, NY

一部メンバーの若返りを図った新ユニットNew Horizonのお披露目となる、ワトソン3年ぶりの新作。パーカー、マイルス、マクリーンのカヴァーや自作3曲等の全9曲は、ハードバップを基本にした変わらぬ音楽性を反映。③は長年の盟友である作曲者カーティス・ランディとワトソンの好ましい協調関係が重なるトラック。