全曲試聴:https://open.spotify.com/playlist/5Kd3AJtAsSv0wTksUYFRFD
テーマ曲:①In Too Deep / Pieces Of A Dream (from『Fired Up!』Shanachie 5492) 4:32
1) ②Destiny Is Yours / The Cookers (from『Look Out!』Gearbox Records GB1571CD) 9:36
■Eddie Henderson, David Weiss(tp) Billy Harper(ts) Donald Harrison(as) George Cables(p) Cecil McBee(b) Billy Hart(ds) (c) 2021
70年代に注目を集め、現在まで生き残ってきた強者を中心に、2007年に結成。80年代から顕在化した各ミュージシャンの主流派回帰は、6枚目を数える新作で持続性を改めて証明。米から英レーベルへの移籍は新展開と捉えられる。メンバー作の再演曲による全7曲を収録。②は作曲者のハーパーが先発ソロで存在感を示し、60年代由来のジャズ・レガシーを今に伝える。

2) ②Chutes And Ladders / Christoph Stiefel Inner Language Trio (from『Chutes And Ladders』nWog Records 040) 7:03
■Christoph Stiefel(p) Lukas Traxel(b) Tobias Backhaus(ds) 2020.12.12-14, Lugano
1961年スイス生まれのシュティーフェルは、97年のトリオ作『Sweet Paradox』等でピアノ・ウォッチャーに認識されていたが、20年近く国内盤が出ないままだった。2010年にアルバム・デビューしたトリオの第5弾は、母国のレーベルからの2枚目。コロナ禍の状況をボードゲームに例えた作品内容にあって、②はそれでも前進する姿勢を示したトラック。

3) ②I Remember / Adam Bałdych Quintet (from『Poetry』ACT 9939) 6:09
■Adam Bałdych(vln,renaissance-vln) Paolo Fresu(①②④⑤⑪:tp,flh) Marek Konarski(ts) Krzysztof Dys(p) Michał Barański(b) Dawid Fortuna(ds) 2021.6.18,19, Poland
ポーランドのバウディヒはこの10年間、独ACTを舞台にした諸作品を通じて、欧州で最も重要なヴァイオリン奏者の地位を確立。クインテットにフレスが加わった本作は、2012年のバルティック・ギャング名義作『Imaginary Room』の編成に近い。自作曲の②は2種類のヴァイオリンによる多重パートを含め、バウディヒの技巧とメロディ・センスが光る。

4) ⑦Subaqueous Silence / Ayumi Tanaka Trio (from『Subaqueous Silence』ECM 2675) 9:25
■Ayumi Tanaka(p) Christian Meaas Svendsen(b) Per Oddvar Johansen(ds) 2019.6, Oslo
ノルウェーで学び、プロ入りした田中鮎美は、2013年に現地人とトリオを結成。これは5年ぶりの第2弾にして、ECMからの初リーダー作。マンフレッド・アイヒャーに請われて提供した音源を元にした演奏は、静かな中にエネルギーを注ぎ込むことや、メロディよりも音の質感を重要と考える田中の音楽性を反映。⑦は細かいサウンドのニュアンスを聴き取りたい自作最終曲。

5) ③Nana – Tepalle / Linda Fredriksson (from『Juniper』We Jazz Records WJCD40)7:04
■Linda Fredriksson(as,bs,b-cl,g,p,vo,rhythmic8 syn) Tuomo Prättälä(el-p, syn,p) Minna Koivisto(syn) Mikael Saastamoinen(b,effects) Olavi Louhivuori(ds) Matti Bye(③:p) Joonas Saikkonen(④: granulator) 2019-2021
2014年にヘルシンキで初めて観た時、スレンダーな若手女性の外見に似合わない骨太なバリトンサックスに仰天。トリオMopoの4タイトルを経た初リーダー作は、管楽器にとどまらないマルチ奏者ぶりと、近年の作曲成果を収録。③は自身の多重録音を含むバンド・サウンドの中で、バリトンによる静と動の表現を主軸に、幻想的な世界へ至る。

6) ③Your Smiling Face / Nicole Henry (from『Time To Love Again』Banister Records)4:10
■Nicole Henry(vo) Pete Wallace(p,key,org) Aaron Lebos(g) Eric England(b) Dave Chiverton(ds) Gregoire Marét(②:hmca) John Michalak(③⑧:ts) Troy Roberts(⑦:ts) Jean Caze(⑥:tp) Shedrick Mitchell, David Cook, Marvin Sewell(arr) (c) 2021
国内制作盤の実績もある実力派女性歌手は、前々作から自主レーベルへと発信地を移しており、これは6年ぶりとなる通算8枚目で、現在はデジタルのみ。マリア・マルダー、スティーヴィー・ワンダー、バフィ・セント・メリー、ジョーン・アーマトレイディングらのポップスをカヴァー。ジェームス・テイラーの③はヘンリーとJT両者のファンに納得の仕上がり。
