全曲試聴:https://open.spotify.com/playlist/524e39F4Gn0TwB9cyOwyPh
テーマ曲:This Christmas / Ragan Whiteside (Randis Music, single) 3:39
1)②Agoraphobia / P.J. Perry (from『No Hugs』Cellar Live Records CM-062022) 6:08
■PJ Perry(as) Bob Tildesley(tp) Chris Andrews(p) Paul Johnston(b) Dave Laing (ds) Brad Shigeta(②:tb) 2021.10.24,25, Alberta
近年ではビル・メイズとのデュオ作『This Quiet Room』(2019年)で健在ぶりを示したカナダの現役最長老サックス奏者(1941~)の新作は、やはり同国の代表格ベーシスト、ニール・スウェインソンとの共作による8曲の新曲で構成。ハードバップを基調としたサウンドにモダン・ジャズの王道を継承する姿勢が明らか。②は歌心豊かなアルト・プレイが聴きもの。
2)③7/26 / Jonathan Collin-Bouhon (from『Léman』Jonathan Collin-Bouhon) 7:24
■Fabrice Alleman(ts,ss,cl) Ivan Paduart(p) Peter Hertmans(g) Jonathan Collin-Bouhon(b) Daniel Jonkers(ds) Elodie Collin(vo) (c) 2022
2004年ブリュッセル生まれで現在18歳のベーシストによるデビュー作。ラーシュ・ダニエルソン、ヘルゲ・リエンらに影響を受けているというだけあって、自作の全10曲は北欧的な寂寥感が滲むクールな肌触りが特徴。また実姉の歌唱を加えた音作りも、コリン=ブオンのこだわり。③は澄み切った空気感の中でイヴァン・パドゥアの価値あるソロをフィーチャー。
3) ⑤Blant dronninger og profeter / Carl Petter Opsahl (from『Kyrkja』Visions and Dreams VDCD 1) 4:41
■Kyrkja / Carl Petter Opsahl(b-cl) Oddrun Lilja Jonsdottir(g,vo) Ellen Brekken(b)
1964年生まれのノルウェー人バスクラリネット奏者は、キャリア40年でニューオリンズ・ジャズからフリー・インプロヴィゼーションまでをカヴァー。このリーダー6枚目は精神的指導者の立場でホームレス、難民、麻薬中毒者に面談してきた経験を作曲に反映。⑤は彼らを勇気づけるメッセージが重なるカリプソ調のナンバー。
4) ⑤Contradictions / LRK Trio (from『Prayer』LRK Trio) 9:09
■Evgeny Lebedev(p) Anton Revnyuk(b,el-b,syn) Ignat Kravtsov(ds,sampling pad) 2022.4, Moscow
モスクワ生まれのレベデフはテリ・リン・キャリントン参加の2010年発表作『From East To West』で記憶していたピアニスト。現在は2017年にアルバム・デビューしたLRKトリオを活動の中心としており、通算6枚目の本作のコンセプトは「自分自身の内面を見つめ、最近の歴史の出来事を理解しようとする試み」。⑤はトリオのユニット性を表現しながら、エンディングへと向かっていく熱量に感嘆。
5)⑦Eta / Esbjörn Svensson (from『HOME.S.』ACT 9053-2) 7:06
■Esbjörn Svensson(p) spring 2008, Sweden
2008年6月に不幸な死を遂げたスウェーデンのスヴェンソンに関しては、その後e.s.t.の未発表音源が世に出て話題を呼んだ。本作は他界数週間前に自宅地下室で録音されていたソロ音源で、夫人が発見した自作全9曲を収録。キース・ジャレットやバロック音楽を想起させるトラック等、初のソロ作として興味深い。⑦はリズムを変化させながらの展開が、ソロ表現に対する意欲的な自己開拓だと言える。
6) ③Duelity / Dave Slonaker Big Band (『Convergency』Origin Records 82851) 7:14
■Clay Jenkins, Ron Stout, Wayne Bergeron(tp,flh) Dan Fornero(①④⑤⑦:tp,flh) Ryan DeWeese(②③⑥~⑩:tp,flh) Alex Iles, Charlie Morillas, Ido Meshulam(tb) Bill Reichenbach(btb,tuba) Bob Sheppard(as,ss,fl) Brian Scanlon(as,fl,cl) Rob Lockart, Tom Luer(ts,cl) Adam Schroeder(①④⑤⑦:bs,b-cl) Jay Mason(②③⑥~⑩:bs,b-cl) Ed Czach(p) Larry Koonse(②④:g) Edwin Livingston(b) Peter Erskine(ds) Brian Kilgore(②④⑨:per) Dave Sonaker(cond,producer) 2021.10.20-21, LA
映画・テレビ音楽の作編曲家として実績豊富なスロネイカーの、2013年のグラミー賞候補作に続く自身のビッグ・バンド第2弾。バージェロン、ライケンバック、アースキンら、西海岸の実力者が集結した演奏は、モダン・ビッグ・バンドの歴史を踏まえたもの。良曲揃いのプログラム全10曲にあって、③はホーン・セクションのアレンジにリーダーのペンが冴え、スタウト(tp)~シェパード(as)のソロも貢献。
●Dave Slonaker Big Band – Uncommonly Ground: