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テーマ曲:①Set The Tone / Judah Sealy (from『Soar』Judah Sealy Music) 3:53
1) ①T.S. Monk / Al Foster (from『Reflections』Smoke Sessions Records SSR-2203) 6:20
■Nicholas Payton(tp) Chris Potter(ts,ss) Kevin Hays(p,el-p) Vicente Archer(b) Al Foster(ds) 2022.2.8, NYC
モダン・ジャズの伝統を守る米レーベルからの第2弾。フォスターの自作曲集だった3年前の前作と編成が同じクインテットながら、メンバーを全員入れ替えて魅力を増し、マイルス、ロリンズ、マッコイ、ジョー・ヘン、ハンコックら、自身に所縁のジャズメンによるオリジナル曲集を完成。フォスター作の①は曲名通り、高僧の作風を拝借したオマージュ。
2) ⑥Something for Someone / Niels Vincentz, Billy Hart & Jacob Artved (from『Something for Someone』NiCe Productions BL8175851) 8:40
■Niels Vincentz(ts) Jacob Artved(g) David Wong(b) Billy Hart(ds) 2021.10.21, Copenhagen
2022年発表の個人名義作『Metamorphosis』が印象的だったアートヴェードと、同じデンマーク出身の若手ヴィンセンツが、NY時代に築いた人脈で米国人とカルテットを結成。コロナ禍での予定変更を乗り越えたツアーの成果を収める、若手2人の自作曲を柱としたお披露目作。アートヴェード作曲の⑥はデクスターやコルトレーンが基盤のテナーと、ハートのドラム・ソロが味わえる。
3) ⑦The World / Luboš Soukup (from『Machina Mundi』Animal Music ANI 112-2) 12:20
■Luboš Soukup(ts,ss,cl,fl) William Larsson(el-p,key,effects) Graig Earle(b) Daniel Johansson(ds) Karmen Rõivassepp(⑥:vo) Copenhagen © 2022
チェコ出身でリズミック音楽院入学以来コペンハーゲン在住のソウクプが、同窓生と結成したユニットのデビュー作。サックス・リーダーでエレピ使用の音作りがクリス・ポッター・アンダーグラウンドを想起させ、今年発表のデュオ作とは異なる音楽性が明らかだ。⑦は初期ウェザー・リポートからの隔世遺伝も認められ、バンドのキラー・チューンになりそうなアルバム最終曲。
4) ②Fishing In Paradise / Luca di Luzio (from『Never Give Up』self-released) 5:31
■Luca di Luzio(g) Randy Brecker(tp) George Whitty(key) Alain Caron(b) Rodney Holmes(ds) Steve Thornton(per) © 2022
ジム・ホール、パット・メセニー、マイク・スターンに師事したイタリアン・ギタリストは、2019年作でジミー・ハスリップ(el-b,producer)を迎えた実績があり、本作は90年代の復帰ブレッカーズ作のランディ、ウィッティも協力してパワ-・アップしたのが見逃せない。②はミュート・トランペット・ソロやギターとのユニゾン等も用意して、バンド感を表出。
5) ①For D.F. / Qasim Naqvi, Wadada Leo Smith, Andrew Cyrille (from『Two Centuries』Red Hook Limited 1002) 5:28
■Qasim Naqvi(modular&minimoog syn,⑥⑧:ds) Wadada Leo Smith(tp) Andrew Cyrille(ds) © 2022
本作に注目したのは重鎮のスミスとシリルの参加だったのだが、ECMのプロデュース実績があるSun Chung設立の新興レーベルであることと、ナクヴィの自作曲集であることを踏まえれば様相が変わってくる。アンビエントな音作りを2人の長老側から見れば、ナクヴィがデジタル世界で簡単に得られない本物のアコースティック・サウンドを求めたのではないだろうか。①は生音と電子音の融合成果。
6) ④If Barrels Could Talk PART 3 / Amina Figarova (from『If Barrels Could Talk』 Amfi Records) 4:21
■Amina Figarova(p) Alex Pope Norris(tp,flh) Marc Mommaas(ts) Bart Platteau(fl) Luques Curtis(b) Rudy Royston(ds) Sara Caswell(vln) Lois Martin(vla) Jody Redhage-Ferber(cello) © 2022
近年再注目されているアゼルバイジャンの出身で、2005年からセクステットを率いるフィガロヴァが、2019年発売作『Road To The Sun』と同じく弦楽三重奏を迎えたデジタル限定作。気候変動と環境破壊問題に触発されて、3つのパートとインタールードからなる組曲を作曲。最終章の④は問題の解決へと力強く歩みを進めるイメージが重なるアップ・ナンバー。
●If Barrels Could Talk, recorded live at Roulette, Brooklyn, NYC on December 3, 2020: https://www.youtube.com/watch?v=IuCkZJArL2Y