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テーマ曲:Kiss The Sky / Ron Bosse & Jeff Lorber (Deep Cat Records, single) 3:36
1) ①Jean/Pauline / Ed Cherry (from『Are We There Yet』Cellar Live Records CM-061622) 6:28
■Ed Cherry(g) Monte Croft(vib) Kyle Kohler(org) Byron ‘Wookie’ Landham(ds) 2022.6.16, NYC
2010年代はPosi-Toneからのリーダー3枚や、ドクター・ロニー・スミス盤を残したチェリーが、助演したベン・ペイターソン盤と同じカナダCellar Liveから初めてリーダー作をリリース。グラント・グリーン『Street Of Dreams』(1964 )に触発された編成と知って聴けば納得できる正統派モダン・ジャズの趣。①は久々に名前を見たクロフトが作曲を含め、スパイス役として貢献。
2) ⑦Orbit (Unless It’s You) / Mike Richmond (from『Turn Out The Stars』 SteepleChase SCCD-31941) 6:59
■Mike Richmond(cello) Andy Laverne(p) Jay Anderson(b) Anthony Pimciotti(ds) 2022.5
チェロ・カルテットを名乗った2017年の『The Pendulum』以来、4枚目となるベーシストのチェロ作はエヴァンスの自作曲を厚めにしたトリビュート・アルバム。あくまでピチカートのソロ・プレイにこだわったリッチモンドが、全編で自己主張。『A Simple Matter Of Conviction』からのマニアックな選曲である⑦は、共演歴の長いラヴァーンが適材適所として活躍する。
3) ④Watching Gaia / Hildegunn Øiseth (from『Suite For Gaia』Clap Your Hands) 5:47
マリリン・マズールとの共演やトロンハイム・ジャズ・オーケストラで活動し、近年はセシリア・ノービー『Sisters In Jazz』が印象的だったノルウェーのトランペット奏者(1966~)が、母国のトップ2人とトリオを編成。全7曲を自作で固め、音楽的ルーツを滲ませたサウンドを構築。④はミュート・トランペットを主体に美しい音風景を描いている。
4) ⑨Indrifting You / Mette Henriette (from『Drifting』ECM 2766) 6:11
■Mette Henriette(ts) Johan Lindvall(p) Judith Hamann(violoncello) 2020-2022, Oslo
2015年発表の初リーダー作が管弦楽器を導入し、著名人が協力したECMからの2枚組という、異例の仕様でインパクトを与えたノルウェーの若手だが、他のレーベルを含めて続編が届かず、視界から遠ざかっていたのは事実。今回は2分台以下の小品を中心とした全15曲のトリオ作で、個人的色彩の濃い演奏が連続する。おそらくコロナ禍によって自分を見つめ直した結果生まれた、新しい音楽性を象徴するのが⑨。
5) ⑤Broken Language / Chad Fowler (from『Alien Skin』Mahakala Music MAHA 041) 8:07
■Chad Fowler(stritch,saxello) Zoh Amba(ts,fl) Ivo Perelman(ts) Matthew Shipp(p) William Parker(b) Steve Hirsh(ds) 2021.10, NY
近年、自身のレーベルで積極的に制作活動を展開するNYフリー派のマルチ・ホーン奏者(1974~)が、2021年に《ヴィジョン・フェスティヴァル》で観たウィリアム・パーカー・グループに刺激を受けて、このメンバーで録音を企画。最終曲⑤は初顔合わせとなった超世代の3管が、三者三様の個性をぶつけ合いながらセクステットを成立させる進行がスリリング。
●「Sentient Sentiment」Official MV by Mahakala Music:
6) ⑥Omar Khayyam Suite: Flying Dervish / Dhafer Youssef (from『Street Of Minarets』Back Beat Edition 8720766721613) 6:02
■Dhafer Youssef(oud,vo) Ambrose Akinmusire(tp) Herbie Hancock(p,syn) Nguyên Lê(g) Dave Holland(b) Vinnie Colaiuta(ds) Adriano Dos Santos(per) (c) 2023
妻の勧めでハービーに手紙を送ったところ、アルバム参加を快諾。その理由はユーゼフにリオーネル的な要素を感じたからかもしれない。約10年前にLAで実現したレコーディングがようやくアルバム化。全12曲中5曲に参加のハービーはどれも素晴らしく、中でも⑥はシンセとピアノの両方で、らしさを発揮して作品の価値を高めている。ホランドのファンキーなベースもいい。