全曲試聴: https://open.spotify.com/playlist/0slVHg6yzAhoOP8BRhO45y
テーマ曲:Double Down / The Rahn Brothers (Side 2 Music, single) 4:23
1) ②Barney’s Castle / Brad Turner (from『The Magnificent』Cellar Music 11523) 6:18
■Brad Turner(p,tp) Cory Weeds(ts) Peter Bernstein(g) Neil Swainson(b) QuincyDavis(ds) 2023.1.16, Vancouver; 2023.1.15, Frankie’s Jazz Club
カナダのトップ・トランペッターが、著名ミュージシャンを得たクインテットで、自作9曲を収めたスタジオ&ライヴ作。タイトル・ナンバー⑤は、同名作を残したサド・ジョーンズ(1923~86)の生誕100年を祝賀。②は2管ユニゾン・テーマの正調ハードバップで、ピアノの不在とギターの存在が新味。後半にフィーチャーされるデイヴィスのソロも聴きもの。
2) ⑦A Viennese Affair / Darrell Grant’s MJ New (from『Our Mr. Jackson』Lair Hill Records LHR 007) 5:58
■Darrell Grant(p) Mike Horsfall(vib) Marcus Shelby(b) Carlton Jackson(ds) 2018.11.30, Portland
個人的にはルーニー、マクブライド、ブレイドとの共演が鮮烈だった93年録音作『Black Art』(Criss Cross)から30年。2013年にグラントが《ポートランド・ジャズ祭》から委嘱されたMJQのトリビュート・コンサートが発端となり、ユニットMJ Newとして制作。その過程でメンバーのジャクソンが他界した結果の本追悼作は、カヴァーとオリジナル曲を取り混ぜた全12曲で、モダン・ジャズ史上屈指の長寿ユニットへの敬意と同時に、グラントの音楽志向を表現。自作曲⑦は「エリーゼのために」「マイノリティ」「トゥー・ベース・ヒット」の合わせ技が絶妙。
“Versailles” video by Cyrus Shiva.:
https://www.darrellgrant.com/mjnew-ourmrjackson
3) ④Views of Road in Crimson Red / Shalosh (from『Tales of Utopia』ACT Music9976-2) 5:19
■Gadi Stern(p,key) David Michaeli(b) Matan Assayag(ds) 2023.1.15, 3.16-18, Tel Aviv
2014年に自主制作盤『The Bell Garden』を発表し、2016年に来日公演を行ったシャロシュは当時、イスラエル期待の若手トリオとの触れ込みだったが、2013年に同国を現地取材し、知識と経験値を上げていた私にとっては過大評価の印象が拭えなかった。2019年にACTとの所縁が生まれて、流れが好転。この同第3弾は旧約聖書と古代ギリシャの長編叙事詩から素材を得て、キリスト教神話とギリシャ神話の融合をコンセプトとしており、 ④はイスラエルらしさ溢れるドラマティックな展開が収穫。
4) ⑥Piece For Six / Niklas Winter (from『Graduale』Abovoice AV1022) 5:40
■Henry Lowther(tp,flh) Niklas Winter(g) Severi Pyysalo(vib) Juho Laitinen(cello) Ken’ichiro Shinzawa(⑬:key) Utopia Chamber Choir 2022.10,11
20年以上にわたり自己のレーベルを通じて発信し続けるフィンランドのギタリストによるコンセプト作。14~15世紀の聖堂で使用された讃美歌集からの、古典記譜音楽と、ウィンターの新曲を合わせた全14曲で、1曲を除き3分台までの小品が全体を占める。自作曲⑥はギター、トランペット、ヴィブラフォンが、アルバム・コンセプトと調和した優美な音空間を醸し出す。
5) ⑤Raptus Norvegicus / Bushman’s Revenge (from『All The Better For Seeing You?』 Is it Jazz? Records KAR264LPC) 12:07
■Even Helte Hermansen(g) Rune Nergaard(b) Gard Nilssen(ds,per,vib) 2022.4.5,7, 12.7
2003年に結成されたノルウェーのジャズ/エクスペリメンタル・ロック・グループは、2009~2016年のRune Grammofon時代に母国シーンで独自の存在感を確立。過去作ではストーレ・ストーロッケン(key)やデヴィッド・ヴァルムルー(org,key)をゲストに迎えたこともあったが、通算11枚目を数えるこの20周年記念作は、メンバーのみで現在の姿を記録。⑤はギター・パートが多くを占める展開で、疾走感が高揚感を呼ぶトリオ・サウンドが痛快だ。
6) ①Dixie Hop / Niels Lan Doky, Bill Evans, Harvey Mason (from『Modern Standards』 Inner Adventures) 8:20
■Niels Lan Doky(p) Bill Evans(sax) Darryl Jones(el-b) Harvey Mason(ds) fall 2022, live at Leverkusener Jazztage, Germany,
“ジャズ界の騎士”ことラン・ドーキーが、92年発表作『An Evening Of Standards』に協力したエヴァンスを含むジャズ~フュージョン・オールスター・カルテットで、2022年秋に14回のヨーロッパ・ツアーを敢行。その成果を収めた本作は、ニルヴァーナ、シール、サウンドガーデン等のカヴァーを含む全8曲。①は全員にスポットが当たると同時に、経験豊かなメンバーからなるバンドの結束力も聴かせる。