2017年12月22日に上野の東京文化会館 小ホールで、「クリスマス・ジャズナイト」と題したクラリネット奏者、北村英治のカルテットによるコンサートが開催された。
これはクラシックを主軸にその他のジャンルのアーティストも出演する「プラチナ・シリーズ」の一環で、ジャズでは2015年に秋吉敏子(p)、2017年に渡辺貞夫(as)の出演実績がある。
プロ・デビューから65年を数える大ベテランの北村が、同会館のステージを踏むのは同夜が初めて。とは言ってもプログラムはいつものように定番曲「ローズ・ルーム」で始まった。ルイ・アームストロングの歌唱で知られる「この素晴らしき世界」、シドニー・ベシェ(ss)の「小さな花」、独自のアレンジを加えた「枯葉」等を演奏。ピアノの高浜和英は数曲でヴォーカリストも務めた。
第2部に進むとこの季節に合わせて、「ウィンター・ワンダーランド」「ザ・クリスマス・ソング」を選曲。MCで北村の孫息子が学ぶ東京芸術大学の話題になったところで、芸大の名誉教授でクラシック・クラリネットの村井祐児が登場。北村はクラリネットを学び直すため、30年前に村井に師事した師弟関係にあり、ダブル・クラリネットで「ムーンライト・セレナーデ」「メモリーズ・オブ・ユー」「シング・シング・シング」を共演。アンコールのイタリアン・ソング「ボナ・セーラ」まで、同会館の特性を生かしたPA無しの音響によって、観客は米寿を迎えた北村(1929年生まれ)の、衰えを知らない美しいサウンドを堪能したのだった。
写真:© 北村英治オフィシャルホームページ