ギタリストのパット・メセニーが2020年2月リリースの『フロム・ディス・プレイス』に続く新作を完成させた。『ロード・トゥ・ザ・サン』はこれまで世に出たアルバムとは趣を変えて、作曲家パット・メセニーをクローズ・アップした内容。全11曲は二つの組曲が柱となっており、クラシック畑のギタリスト5名の参加が注目される。
4楽章の組曲「フォア・パス・オブ・ライト」はジェイソン・ヴィオーが演奏。“彼の世代では最も正確でソウルフルなクラシック・ギタリスト”と評され、アメリカ国際ギター・コンクール優勝、グラミー賞受賞の実績がある。ヴィオーのコメント:「パットほどの重要な芸術家が、演奏するために真の妙技を必要とする(そして彼の音楽的痕跡が全体にある)大作を書くときはいつでも、それはクラシック・ギターにとって大きな瞬間なのです」。
●先行シングル「Road To The Sun Part 2」試聴:
https://patmetheny.lnk.to/RoadToTheSunPart2
アルバムの中心に位置づけられる6楽章の組曲「ロード・トゥ・ザ・サン」は、ロサンゼルス・ギター・カルテット(LAGQ)が演奏。グラミー賞受賞歴のあるLAGQは、メセニーが「世界で最高のバンドの一つ」と絶賛するほどのユニット。両者の関係はメセニーがLAGQの『ギター・ヒーローズ』(2004年)でメセニー作曲の「レター・フロム・ホーム」を聴いてファンになったのがきっかけだった。メセニーが《Crown of the Continent Guitar Festival》で会った時に、彼らのための作曲を決意。そうして生まれた「ロード・トゥ・ザ・サン」は2018年2月16日のLAGQ公演で初演。米モンタナ州のグレイシャー国立公園の伝説的な山道に創作ヒントを得た約30分の楽曲は、フォーク、カントリー、プログレッシヴ・ジャズ、ラテンを融合した、メセニーの過去作を想起させるサウンドとのこと。
LAGQのスコット・テナントのコメント:「この新しいメセニーの楽曲を演奏するたびに、私は驚かされます。何て美しいメロディとハーモニーの流れなのか! 彼のファンはそれを間違いなくメセニーとして認識しますが、彼はテーマ別の素材を非常に巧みに開発しているため、コンサートに参加する多くのファンは彼の世界で迷子になります。 壮大な形のサウンドスケープです」

新作のもう一つの話題は、Modern Recordingsからの第1弾であること。アンナ・マリア・ヨペック(vo)との『ウポイエニェ』(2008年)以降、12枚を制作してきたNonesuchから離れて、独BMG傘下の新興レーベルModern Recordingsと契約したことに興味が湧く。その点に関して、メセニーは以下のコメントを発表した。「音楽は無限でオープンです。 私は、目の前の使命の境界にあるどのような文化的な問題にも制限を感じたことはありません。 Modern Recordingsが取り組んでいる探求は、私が目指している種類のミュージシャンと完全に交差しています。 私と同じように、境界のない音楽を愛するこの素晴らしいチームの支援の下で探求を続けることができることに、とても興奮しています」。
またPJ独自にModern Recordingsの上席副社長クリスチャン・ケラーズマンからコメントを受け取った。「パットが新しいレーベルに心を開いてくれたので、私たちは連絡を取り、レーベルのアプローチを気に入ってくれました。パットはModern Recordingsに完全に適合すると考えます。パットは常に多くの異なる側面と音楽の方向性を持つアーティストであり続けています。彼の音楽はジャンルに分けられるものではありません。そして、それはModern Recordingsと同じ見解です。私たちのレーベル・ポリシーは、“重要な音楽へのアプローチ”です」。
『ロード・トゥ・ザ・サン』は2021年3月5日リリース。
●LAGQ premieres “Road to the Sun” by Pat Metheny:
●Behind Pat Metheny’s “Road to the Sun”, written for LAGQ:
