シチリア出身のフランチェスコ・カフィーソ(as)とパレルモ出身のマウロ・スキアヴォーネ(p)が、3月15日(木)に東京・九段のイタリア文化会館でデュオ・コンサートを行った。彼らは昨年12月に大阪・ナレッジシアターで初来日公演を行っており、早くも再来日を果たしたことになる。
89年生まれのカフィーソはわずか14歳でウィントン・マルサリス(tp)の欧州ツアーに参加した神童。2005年には本邦専門誌の《ニュー・スター賞》に輝き、日本でも人気を高めた。2015年発表の『3』は各ディスクの編成が異なる3枚組で、2013年からカフィーソと共演関係にある75年生まれのスキアヴォーネは、それらすべてに参加している。
チャーリー・パーカーに影響を受けたビバップをアルト・スタイルの基盤とするカフィーソは、当夜はバップ・ナンバーを封印。最新3部作である『La Banda』、『20 Cents Per Note』(Alfredo Lo Faro Produzioni)収録の自作曲から、「Sicilia」、「Scenario」、「16 Minutes Of Happiness」、「La Banda」で前半のプログラムを構成した。
後半に進むとファッツ・ウォーラーの「浮気はやめた」で観客に歩み寄り、誰もが知る『ティファニーで朝食を』の主題曲「ムーン・リヴァー」で親近感を表出。するとメドレー形式で童謡「ふるさと」を演奏したのは意表を突かれた。しかしそれは唐突ではなく、自然な流れで繋がっていて、生まれも時代も異なる2曲に共通する楽想を見出したカフィーソの着想が秀逸だった。アンコールではジミー・ロウルズ(p)のバラード名曲「ザ・ピーコックス」を、しっとりと演奏。
身体を動かしながらエモーショナルに吹くカフィーソと、クラシック音楽のテクニックを土台に饒舌なプレイで、イタリアンらしさを表出したスキアヴォーネの二人が、しばしば繰り出す急速調のユニゾン・テーマで、デュオ・チームであることの説得力を感じさせたのだった。
(協力:イタリア文化会館)

photo by Daniela Migliorisi