今年1月に発表された音楽界最大の祭典である第60回(2017年度)グラミー賞で、『ブリンギン・イット』(Mack Avenue)が〈ベスト・ジャズ・ラージ・アンサンブル〉に輝いたクリスチャン・マクブライド(b)が、6月14日に丸の内コットンクラブの初日のステージを務めた(17日までの4日連続公演)。今回率いたのは2年前に結成した新グループ“ニュー・ジョーン”で、これが初来日。先週はオーストラリア《メルボルン国際ジャズ祭》に出演した。メンバーはマクブライド(ac-b)、ジョシュ・エヴァンス(tp)、マーカス・ストリックランド(ts,b-cl)、ナシート・ウェイツ(ds)で、ピアノレスの2管カルテットは過去のキャリアで例がない。
初日のファースト・セットはマクブライド、エヴァンス、ストリックランドのオリジナル曲でセット・リストを構成。編成を含めて色々な点でジョシュア・レッドマンのスティル・ドリーミングがちらつくが、音楽が60年代的なフリー・ジャズに傾く場面はなかった。親日家のマクブライドは昨年、来日公演の機会がなく、それだけに今回のお披露目ステージには期するものがあったようだ。アンコールではオーネット・コールマンとパット・メセニーの共演作『ソングX』からの「ザ・グッド・ライフ」を演奏。60年代のオーネット・グループと同じ編成で、マクブライドはメセニー・トリオのメンバーという共通点を踏まえると、バンド・コンセプトに興味が高まる。この日の演奏はウェイツが最大級の貢献をするキー・メンバーであることが明らかになった。
今秋リリース予定だというデビュー作に期待が寄せられる。