イタリアの巨匠トランペット奏者エンリコ・ラヴァに見出され、ECMから3枚のリーダー作をリリースして世界的な評価を獲得するピアニスト、ジョヴァンニ・グイディ(1985~)が、1月29日に東京・イタリア文化会館でソロ・コンサートを行った。これまでに発表したアルバム9タイトルは、トリオ、カルテット等の編成で、ソロ作は無い。その意味で今回はアルバムでは聴くことができなかったグイディを知る絶好の機会。全国5回のツアーが組まれ、この日はその初日となった。
演奏予定の楽曲として事前に告知されたのは、発売を控える通算10枚目のトリオ/クインテット新作『Avec Le Temps』(ECM)からのオリジナル曲や、ブライアン・イーノ「By This River」、ファブリツィオ・デ・アンドレ「Canzone Dell’amore Perduto」、セルジョ・エンドリゴ「Te Lo Leggo Negli Occhi」など。
プログラムは1曲が終わるたびに観客が拍手をして次に進む、という通常の構成ではなく、意外にも途切れなく連続する60分のワン・ステージとなった。アルペジオを大きなうねりのバックグラウンドにして、美旋律を繋げるオープニング・ナンバーを皮切りに、クラシックのような曲調や、豪雨を想起させるフリー・スタイルでも演奏。映画『オズの魔法使い』の主題曲「虹の彼方に」や、キューバ由来のメロディアスな『ディス・イズ・ザ・デイ』収録曲「キサス・キサス・キサス」といった有名曲を織り込んで、集中力を持続させながら起伏に富んだサウンド・ストーリーを完成させた。アンコールでは「ムーン・リヴァー」「アイム・スルー・ウィズ・ラヴ」のバラード・スタンダード2曲をボーナス・トラックとした。
『Avec Le Temps / Giovanni Guidi』(ECM)
①Avec Le Temps ②15th of August ③Postludium And A Kiss ④No Taxi ⑤Caino ⑥Johnny The Liar ⑦Ti Stimo ⑧Tomasz
Giovanni Guidi(p) Francesco Bearzatti(ts) Roberto Cecchetto(g) Thomas Morgan(b) Joao Lobo(ds) 2017.11, Pernes-les-Fontaines,France