精力的なレコーディング活動を続ける“ピアノの詩人”ことフレッド・ハーシュが、自己のトリオの活動10周年を記念したボックス・セットをリリースする。『10 Years / 6 Discs』(Palmetto Records)は文字通りこれまでのトリオによる5タイトル(うち2枚組の1タイトルを含む)を収めたもので、米国では10月18日発売。
米『ダウンビート』8月号掲載の第67回国際批評家投票のピアニスト部門で第2位に入ったハーシュは、「ジャズ・グループ」部門で2位のチャールズ・ロイド&ザ・マーヴェルズを抑え、フレッド・ハーシュ・トリオとして首位を獲得しており、その勢いに乗っての記念作となる。
2010年発表の『Whirl』はハーシュのオリジナル曲を中心とした、スタンダード・ナンバーとの2本立て。2012年発表の『Alive at the Vanguard』はハーシュにとって3作目となったニューヨークの名門ジャズ・クラブ“ヴィレッジ・ヴァンガード”での2枚組実況録音作。チャーリー・パーカー、オーネット・コールマン、ソニー・ロリンズ、セロニアス・モンクといったジャズ・ミュージシャンのナンバーを厚く選曲している。
2014年発表の『Floating』はニューヨークのスタジオ録音作。エスペランサ・スポルディング、ケヴィン・ヘイズ、故シムリット・ショーシャンのようなミュージシャンに加えて、母と祖母に捧げたオリジナル曲を中心とした構成が特色だ。2016年発表の『Sunday Night at the Vanguard』は4年ぶりの“ヴィレッジ・ヴァンガード”ライヴ作。プログラムの前半をハーシュの自作曲、後半をケニー・ホイーラー、ジミー・ロウルズ、セロニアス・モンク等のカヴァー曲を中心として、アンコールは感動的な自作曲「ヴァレンタイン」で締め括る。
2018年発表の『Live in Europe』は2017年、3週間の欧州ツアーからブリュッセルでのホール録音作。ハーシュが敬愛する故ジョン・テイラーやソニー・ロリンズに捧げたオリジナル曲を中心に、セロニアス・モンクとウェイン・ショーターを2曲ずつ選んでいる。
『10 Years / 6 Discs』はハーシュ自身と、評論家テッド・ジョイアによるライナーノーツを封入。なおフレッド・ハーシュ・トリオは11月5日から10日まで、6日間連続でヴィレッジ・ヴァンガードへの出演が決定している。