今年9月に全米で刊行された絵本が、早くも日本語版として登場した。絵本『JAZZ DOG ジャズドッグ こいぬのハリーが ゆめみた おんがくかい』は、いぬとねこ、ロックとジャズという二つの隔たれた世界が、音楽の力で ひとつになる物語。ロックをパワフルに演奏することが好きないぬたちと、ジャズを軽やかに美しく演奏することが好きなねこたち。決して交わることのなかった両者の中に、自分とロックの相性が合わないと感じたこいぬのハリーが、ジャズに惹かれてねこの世界に飛び込む。そしてサックス・プレイヤーとしてジャズ・コンテストに出場すると、誰も想像しなかったことが起こる、という内容だ。
分断と調和、孤独と一体感をイマジネーションの力で描き出したストーリーは、“自分らしくありたい、人と違ってもいい、異なる相手とも私たちは共感し合える”―― そんなメッセージが込められている。
<著者プロフィール>
マリー・フォークト:東ドイツ生まれの絵本作家。メディアデザインとマーケティングを学び、テレビやグラフィックデザインの分野で活躍した後、絵本の創作活動を始める。近著は『RED AND THE CITY』、『THE LIGHT IN THE NIGHT』。
【出版社からのメッセージ】
カバーをめくった表紙、楽譜屋さん、夜の町並みの小さな窓あかりの中…。丁寧に描き込まれた絵を眺めていると、主人公ハリーの様子をあちこちで見守っている「ねこの女の子」の姿に気がつきます。この作品には、文章では綴られていないもう一人の主人公が絵の中に密やかに描かれているのです。お子さまとこの絵本を手にとって頂けたなら、ぜひこの「もう一人の主人公」に注目してみてください。翻訳編集を行う中で、実際にこの作品を子どもたちに読み聞かせる機会がありました。彼女の姿を見つけた子どもたちは、それはもう大喜び。「見て!ここにあの子がいるよ!」「ここにも!」と、探し絵遊びのように何度もペー ジをめくっていました。「この子のお父さんはピアニストだよ!」「この子はずっとギターを練習してたんじゃない?」 文章の中では語られない彼女のストーリーを、絵の中からたくさん読み取ることができます。絵の中に隠されたもう一つの物語に、会話が広がることでしょう。
【作品情報】
『JAZZ DOG ジャズドッグ こいぬのハ リーがゆめみた おんがくかい』
■作:マリー・フォークト 訳:ひびの さほ
■発売日:2019年11月13日(水)
■定価:1,350円+税
■刊行:株式会社 世界文化社
http://www.sekaibunka.com/