Photo by Francis Wolff / © Mosaic Images
33歳の若さで逝去したトランペット奏者のリー・モーガン(1938~72)が、1970年に録音した名盤『ライヴ・アット・ザ・ライトハウス』が、50年を経てコンプリート・ボックスでリリースされる(米国盤は7月30日、国内盤は8月18日)。
リー・モーガンは、1956年に18歳でNYジャズ・シーンに登場し、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ等の名門バンドの一員として活躍。ソロ・アーティストとしても、64年発表のアルバム『ザ・サイドワインダー』が全米ポップ・チャートの25位にランクインし空前のヒットを記録した。だが、ミュージシャンとして最も充実していた72年2月に内縁の妻の銃弾に倒れ、命を落した。ジャズ史上最も悲劇的な事件と言われたこの出来事の真相に迫ったドキュメンタリー映画『私が殺したリー・モーガン』(英語題『I Called Him Morgan』)は、日本でも2017年に劇場公開された。
© Joel Franklin 『ライヴ・アット・ザ・ライトハウス』は、モーガンが亡くなる1年半前の70年7月に、サックスのベニー・モウピン、ピアノのハロルド・メイバーン、ベースのジミー・メリット、ドラムのミッキー・ローカーで構成する自身のクインテットで、カリフォルニア州ハモサ・ビーチのジャズ・クラブ“ザ・ライトハウス”に出演した際のステージを収録したもの。
71年発表の2枚組原盤LPは各面に1曲を収録した全4曲で、96年には追加曲を収録した全13トラックの3枚組CDでリリース。今回の『コンプリート・ライヴ・アット・ザ・ライトハウス』は、全33トラックのうち、4時間以上の未発表音源(18トラック。MCトラックを除く)を加えた完全版。70年7月10日~12日の3日間のステージ(各日4ステージ=計12ステージ)の全貌が陽の目を見る。CDは8枚組、LPは180g限定盤の12枚組でリリース。数々の歴史的音源を発掘しているゼヴ・フェルドマン、およびデヴィッド・ワイスがプロデューサーを務めた。
本作品について、メンバーのベニー・モウピンは、「最初から、5人はお互いに心と心の繋がりと呼べる関係を築きました。それは私たちの演奏にはっきりと反映されていると思います。演奏する場所に身を置きながら、一瞬一瞬を捉えることであり、全員がそれをしたのです」とコメントしている。
ボックスに付属の28ページのブックレットには、録音時にハモサ・ビーチで撮影された数多くの未発表写真に加え、本作のバンド・メンバーであるメリット(2020年4月に他界)とモウピンへの貴重なインタビューや、ジェフリー・マクミラン(『Delightfulee: The Life and Music of Lee Morgan』著者)とマイケル・カスクーナのエッセイ、さらにウォーレス・ルーニー、ニコラス・ペイトン、チャールズ・トリヴァー、エディ・ヘンダーソン、デイヴ・ダグラスら、モーガンを敬愛する現代トランペット奏者やモーガンの家族のコメントを掲載している。
なお、7月11日(土)の2ndセットで演奏された「ザ・ビーハイヴ」の未発表ヴァージョンが、先行でデジタル配信されている。
●https://open.spotify.com/album/6otOtmPzHTRty23oFS44Gd
●Album Trailer:https://www.youtube.com/watch?v=X8FXffnhMps
●『Live At The Lighthouse』(3CD)試聴:
https://open.spotify.com/album/62r4UbMeVkISnWjWO0xprJ
■作品情報
リー・モーガン 『コンプリート・ライヴ・アット・ザ・ライトハウス』
Lee Morgan 『The Complete Live At The Lighthouse』(Blue Note 0883935[CD]、0883934[LP]、国内盤:ユニバーサルミュージック UCCQ-9583/90)
Disc 1: Friday, July 10, 1970 Set 1
1) Introduction by Lee Morgan (2:06)
2) The Beehive (12:51) *
3) Introduction (0:20)
4) Something Like This (12:43) ※(3CD)
5) Yunjana (14:28) *
6) Speedball (4:34) *
Disc 2: Friday, July 10, 1970 Set 2
1) I Remember Britt (16:45) *
2) Introduction (0:19)
3) Absolutions (21:55) *
4) Speedball (3:46) *
Disc 3: Friday, July 10, 1970 Set 3
1) Introduction (0:33)
2) Neophilia (18:52) *
3) Introduction (0:47)
4) 416 East 10th Street (11:46) ※(3CD)
5) The Sidewinder (12:49) ※(3CD)
6) Speedball (0:53) ※(3CD)
Disc 4: Friday, July 10, 1970 Set 4
1) Introduction (0:30)
2) Peyote (13:23) *
3) Speedball (11:55) ※(3CD) Jack DeJohnette(ds)
Friday, July 11, 1970
Set 1
4) Aon (13:47) ※(3CD)
5) Introduction (0:21)
6) Yunjana (17:32) *
Disc 5: Saturday, July 11, 1970 Set 2
1) Introduction (0:14)
2) Something Like This (11:46) *
3) Introduction (0:28)
4) I Remember Britt (14:25) ※(3CD)
5) Introduction (0:47)
6) The Beehive (15:23) *
7) Speedball (7:00) *
Disc 6: Saturday, July 11, 1970 Set 3
1) Neophilia (19:18) *
2) Nommo (17:44) ※(2LP, 3CD)
Set 4
3) Peyote (11:24) *
4) Absolutions (22:28) ※(2LP, 3CD)
Disc 7: Sunday, July 12, 1970 Set 1
1) Introduction (1:37)
2) Something Like This (15:39) *
3) Introduction (0:29)
4) Yunjana (16:07) ※(3CD)
Set 2
5) I Remember Britt (16:19) *
6) Absolutions (19:35) *
7) Speedball (0:27) ※2LPの「Beehive」に編集された音源
Disc 8: Sunday, July 12, 1970 Set 3
1) Introduction (1:19)
2) Neophilia (18:59) ※(2LP)
3) Introduction (0:46)
4) The Beehive (15:11) ※(2LP)
5) Speedball (1:59)
Set 4
6) Peyote (9:27) ※(3CD)
7) Nommo (19:19) *
*未発表曲
◆パーソネル
Lee Morganリー・モーガン(tp,flh)
Bennie Maupin ベニー・モウピン(ts,fl,b-cl)
Harold Mabern ハロルド・メイバーン(p)
Jymie Merritt ジミー・メリット(b)
Mickey Roker ミッキー・ローカー(ds)
Jack DeJohnette ジャック・ディジョネット(ds, on “Speedball” from Friday, July 10, Set 4)
★1970年7月10日~12日、カリフォルニア州ハモサ・ビーチ“ザ・ライトハウス”にてライヴ録音
© Joel Franklin