全曲試聴: https://open.spotify.com/playlist/5nJMBiSNq0eaE6LvHGXhWK
テーマ曲:①Eastside Party / BPM (from『Seriously』Shanachie SHAN5517) 3:56
1) ⑥Captain Senor Mouse / Warren Wolf (from『History Of The Vibraphone』Cellar Music CMR120223) 8:10
■Warren Wolf (vib) Tim Green (②④⑤⑨:as, ⑥⑧:ss) Alex Brown (p,el-p) Vicente Archer (b) Carroll Vaughn Dashiell III (ds) 2023.12.1, NY
キャリア的には中堅のウルフ(1979~)がタイトル通り、ジャズ史を彩るライオネル・ハンプトンからジョー・ロックまでのヴィブラフォン奏者9名をトリビュート。その制作動機はこの楽器の知名度の低さを実感していたことにあるようだ。第2期RTFの楽曲で、作曲者のチック・コリアとゲイリー・バートンのデュオによる「セニョール・マウス」が原曲の⑥は、まずピアノとのデュオで演奏した後、ソプラノを含むバンドへと展開しており、チックの2組を意識したアレンジであることを明らかにする。
●4. Herzog by Bobby Hutcherson – Warren Wolf – The History of the Vibraphone 6/9/24:
2) ④Procession / Alawari (from『Leviathan』April Records APR138CD) 6:24
■Carlo Janusz Becker Adrian (tp,flh) Sune Sunesen Rendtorff (p,syn) Frederik Engell (ts) Michela Turcerová (as) Rafał Różalski (b) Simon Forchhammer (ds) 2024.2.27, 3.3, Poland
2016年結成のデンマークのユニットは、母国のヤング・ジャズ・コンペで優勝し、2022年にアルバム・デビュー。編成は3管セクステットながら、ジャズを超えたリスナーを視野に入れた音作りをコンセプトにしており、この第2弾は少量のシンセも加えてオーケストラ的なサウンドを意識した音作りの成果と言える。最多6曲を書いたレンドトフの④は、静かな立ち上がりの演奏が、大きく拡張していく様子がカタルシスを現出。
3) ⑨Arbor Vitae / Ryan Keberle & Catharsis (from『Music Is Connection』Alternate Side Records ASR 019) 5:30
■Ryan Keberle (tb,p,key,syn,vo) Camila Meza (vo,g) Scott Robinson (⑨:ts) Jorge Roeder (b) Eric Doob (ds,per) 2023.9.6,7, 2024.4.18, NY
マリア・シュナイダーを始め、現代のトップ楽団で活躍するケバリーは、2012年にリーダー・トリオ“カタルシス”のデビュー作を発表。2013年にカミラ・メサが加わって現在のラインアップになり、本作はコロナ禍以降では初となる5年ぶりの第6弾。マルチプレイヤーのブラジル志向を体現するプログラムにあって、⑨はシュナイダー楽団でケバリーと同僚のロビンソンが、スタン・ゲッツ・ライクな吹奏で心地良い風を送り込んでいる。
●Ryan Keberle & Catharsis: NPR Music Tiny Desk Concert:
4) ⑦Sounds & Sequences / Daniel Sommer – Arve Henriksen – Johannes Lundberg (from『Sounds & Sequences』April Records APR137CD) 7:18
■Arve Henriksen (tp,electronics,vo) Johannes Lundberg (b,electronics) Daniel Sommer (ds) 2022.3.24,12.19, 2023.12.27-28, Gothenburg
ロブ・ルフト(g)+アリルド・アンデルセン(b)とのトリオ作『As Time Passes』を今年4月に発表したデンマークのソマーが、共演者を替えた続編を早くもリリース。今回はノルウェーのヘンリクセン+スウェーデンのルンドベリのトリオで、北欧色をより強く打ち出しており、特にヘンリクセンの個性がサウンドに大きく貢献。大量の即興演奏の音源を編集して完成させた全11曲のうち、⑦は90年代発祥のフューチャー・ジャズの発展形とも言える展開がスリリングだ。
5) ⑦Improvisation No. 4 / Les Cinq Doigts No. 5 / Trygve Seim – Frode Haltli (from『Our Time』ECM 2813) 5:03
■Trygve Seim (ss,ts) Frode Haltli (accordion) 2023.6, Munich
2007年録音の『Yeraz』を初デュオ作として、サイムの2015年録音カルテット作『Rumi Songs』のメンバーであるハルトリとの第2弾。共演歴の長いノルウェー人だからこそ、より強く通じ合うものがあることは間違いなく、4つの即興曲を柱にトラディショナルや、それぞれの自作曲を入れた全8曲は、静謐さと哀感を漂わせた対話で満たされている。⑦は自然発生的な会話が、ストラヴィンスキー「5本の指で」へと展開する流れが面白い。
●Trygve Seim, Frode Haltli – Our Time (album EPK) | ECM Records:
6) ⑨The Shanghai Skyline / Jazz At Lincoln Center Orchestra (from『The Shanghai Suite』Blue Engine Records) 7:46
■JLCO [Ryan Kisor, Kenny Rampton, Marcus Printup, Wynton Marsalis (tp) Vincent Gardner, Chris Crenshaw, Elliot Mason (tb) Sherman Irby(as,ss,fl,piccolo,Bb-cl) Ted Nash (as,ts,fl,a-fl,piccolo,Bb-cl) Victor Goines (ts,Bb-cl,Eb-cl) Nicole Glover (ts,ss,Bb-cl) Paul Nedzela (bs,as,b-cl) Dan Nimmer (p) Carlos Henriquez (b) Obed Calvaire (ds)] Special guest: Ye Huang (cl) 2022, NYC
コンゴ、ビトリア、マルシアックを題材としてきたウィントンが、古代と現代中国の文明の神話、料理、建築に着想を得て2019年に作曲。ペンタトニック・スケールを基本とする点で、中国の音楽がブルースや黒人霊歌と共通する、との見方も創作を後押ししたようだ。米国初演となったローズ・シアターでのライヴからの⑨は、何故か秋吉敏子の作風に通じるのが興味深い。